19.倭国と日本国

『旧唐書』は倭国伝と日本国伝を、それぞれ別に立てている。
 
その倭国伝は「倭国者、古倭奴国也<倭国は、古の倭奴(イト)国なり>」とあり、日本国伝は「日本国者、倭国之別種也<日本国は、倭国の別種なり>」とある。
 
『魏志』倭人伝に「女王国東、渡海千余里、復有国、皆倭種。<女王国の東、海を渡ること千余里にして、復た国あり、皆、倭種。>」とある。
 
「倭種」の皆(国々)とは、倭国とは別種の国である。
 
この「倭種」の国が、『旧唐書』がいう「日本国」ではなかろうか。
 
『旧唐書』日本国伝は「日本」の国名の由来について、「以其国在日辺、故以日本為名<その国、日辺にあるをもって、故に日本をもって名となす>」とある。
 
「日本」の国名の由来は、その国が日辺(ジッペン)にあるからだという。
 
辞書には「日」の字音は呉音で「ニチ」、漢音で「ジツ」とあるが、逆ではなかろうか。
 
普通は清濁が対立するときは元日・連日・休日のように濁っているのが呉音、日本・日課・日報のように濁っていないのが漢音である。
 
初期の遣唐使は漢字を呉音で発音していたので(漢音をまだ知らないので)、「日本」は「ジッポン」と発音していた。
 
その後、遣唐使は「日」が唐音(漢音)では「ニッ」と発音されることを知った。
 
「ジッポン」は「ニッポン」と発音されるようになったが、破裂音を嫌う(唾がとぶので)日本人はいつしか促音のない「二ホン」とも発音するようになり、今では「ニッポン・二ホン」のどちらも「国」をいう正式呼称である。
 
『東方見聞録』のマルコポーロ(1254-1324)は、日本国(ジッポングォ)をジパング(Zipangu)としてヨーロッパに紹介している。
 
「日本」の仏名(Japonジャポン)英名(Japanジャパン)は、昔の中国では「日本」を「ジッポン」と発音していたからである。(今は「Ribenリーベン」)

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