『日本人のための怒りかた講座』要約

怒りたいけど、注意したいけど、一歩踏み出せない。怒れない事で余計に自分の中に怒りが溜まる。本書は、こうした経験がある人へ「怒り方」を示唆している。

本書では、「怒る」という行為を、怒りの発散としてではなく、「こちらの要求を伝え、相手に従ってもらうよう交渉すること」とした意味合いで語っている。それを踏まえ、怒り方を学んでいく。

怒り方には、外してはならない三原則がある。1つ目は、真面目な顔で怒る事だ。笑いながら怒る人が稀にいるが、これではこちらが怒っている事が伝わらない。一方、怒鳴りつけた場合、意外にもストレスが溜まる。そのため、しっかりと真面目な顔で怒りを示すべきだ。
2つ目は、すぐに怒る事だ。注意するタイミングを逃し、イライラを募らせる経験した人は少なくないだろう。
3つ目は、具体的に怒る事だ。怒る姿をイメージすると、「オイ、コラ!」といった罵倒の単語が頭に浮かぶ。これでは言われた側は、何に対して怒られているのか分からない。具体的に辞めて欲しい内容を伝え、可能ならば代替案を提示してあげれば、こちらの主張も通りやすくなる。

上記怒り方を学んだ上で、そもそも怒るという行為はどう扱うべきなのだろう。巷では、怒らない技術といった本が乱立しているが、怒りは表現すべきというのが、筆者の主張だ。痛みは身体の不調のシグナルである。怒りは心が不条理を感じた際のシグナルだ。これを無視し、放っておくことは精神衛生上、問題である。

世間には怒る事と、正義を結びつける人がいる。そして正義は、完全を求められる。一人に注意するなら、同じことをしている他の全ての人にも注意すべきという主張がある。当たり前だが、怒る人にその様な義務はない。気が向いた時にのみ、怒ればよい。相手が犯罪者なら、警察に任せるべきだ。怒るのは正義のためでなく、自分のために怒る事を忘れてはならない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?