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広告代理店マンからデジタルプロダクトファーム創業への道のり(前編)

前回のnoteで、GNUSという会社が、ITコンサルともシステム開発会社とも違う事業部門を支援するプロダクトファームであることを書いたわけですが、そもそも私が広告代理店の営業としてキャリアをスタートし、現在の会社を設立するに至ったのか、GNUSという企業を設立するきっかけとなった原体験はなんなのかを書いていきたいと思います。


広告代理店でプロダクトマネージャーになる

私の社会人キャリアのスタートは広告代理店である電通のアカウントプランナーです。ざっくりいうと営業兼プランナーみたいな職種です。CMを作ったり、テレビCMの枠を提案したり、雑誌のタイアップ記事を作ったり、店頭のイベントを企画したり、オンラインの広告を配信したり、時にはマーケティング戦略のための調査を行ったり、皆さんが想像する通りの広告代理店マンの仕事をしていました。

私が入社した2004年当時、電通が発表していたデータによるとインターネット広告市場はラジオ広告と同規模で、このデータを見る限りインターネット広告はまだまだ成長途中でしたが、広告の現場(特に若者視点)では、マスメディアが衰退し、インターネットが成長していくことは明らかでした。

私は、このままマスメディアを中心としている会社にいていいのだろうかと言うモヤモヤがありながらも、どこかでインターネットのビジネスにどっぷり関わるチャンスを伺っていました。

そこで、メディア局(自分の場合は雑誌局という出版社のメディアを担当する部署)に異動になった時に、ちょうどiPhone3Sが日本に上陸、アプリビジネスを一緒に立ち上げるというプロジェクトに参画し、プロダクトマネージャーとしてアプリの企画や開発などを進めることになりました。

ちなみに、このリリースにもあるヤッパさんは現在PowerXの会長をされている伊藤さんが17歳で立ち上げた会社で、その後ZOZOに売却されています。当時バリバリのベンチャー開発会社のみなさんと一緒に大手広告代理店では体験できない経験や勉強をさせていただきました。

もちろん、当時はプロダクトマネージャーという言葉もなく、ひたすらアプリに必要な機能を、調査し、開発してリリースするという繰り返しで、この数年間でスタートアップのチームのような感覚を肌で感じることができたことは本当に貴重な経験だったと思います。

そして、この時点で、間違いなくスマホアプリはマーケティングだけでなくビジネスの中心に来るという確信を持ったのが、自分のキャリアの大きな転換点だったのかも知れません。

デジタルプロダクトを開発

そんな、初めてのプロダクトマネージャーの経験でしたが、大企業の中での人事異動などを機に後任のメンバーに引き継ぐことになりました。それでも次のデジタルプロダクトを考えたいと思った私は、次のプロジェクトを立ち上げました。スマホアプリの開発プラットフォームです。あえてわかりやすく言うなら、Yappliのようなサービスです。

当時、電通の中でもスマホアプリの開発やリリースに関するノウハウが私たちのチームに溜まっていったので、自社事業としてのスマホアプリではなく、電通のクライアント向けにアプリ開発の支援をするというお仕事をやってはどうかという部署の方針が示されていました。
しかし、当時クライアントであった大企業でも、なかなかアプリの開発や運用に大きな予算をつけることは難しく、仮にリリースしてもアプリを継続的に運用することが難しかったのです。

当時の私は、アプリで共通で使用されるコンポーネントを組み合わせることで、開発運用コストを抑えてアプリ開発ができないかと考えており、現在、HelpfeelのCEOとして会社を急成長させている洛西さんと一緒にプロダクトを開発することにしました。

天才エンジニア洛西さんと壁打ちをしてもらいながら要件をまとめ、リリースを繰り返すという、まるでCEOとCTOのアジャイル開発のうような経験をさせていただき、今振り返ってもものすごく刺激的で効率的なプロダクト開発ができていたと思います。

そして何よりも、このプロジェクトを通じて、アジャイルとはどういうことなのか、エンジニアはどのように考えるのか、どのようにエンジニアとコミュニケーションすると良いのかなど、プロダクトマネージャとしてのコツを掴むことができたことは、その後の大きな財産になったと感じています。

このプロダクトは、出版社さんなどメディア企業を中心にたくさんのクライアントさんにご利用いただくことができたのですが、次なる成長のシナリオを描くことができずに、クローズしてしまうことになりました。
というのも当時Yappliさんのサービスが立ち上がり、当時の記憶ではものすごく安い価格で提供されていたので、この価格競争には勝てないだろうということでクローズを決断したのでした。

広告代理店時代に経験した原体験とは

このように、私は環境に恵まれ、プロダクトマネージャーとしてのキャリアを5-6年にわたって経験し、自分のキャリアを大きく転換するだけでなく、大企業の新規事業に関わることができました。

そして、この2つの原体験が、私がGNUSを設立する原動力の一つになっていたことは間違いありません。その2つの原体験について触れたいと思います。

【原体験1】事業担当者として、デジタルリテラシーを向上させ、プロダクトマネジメントのスキルを習得できたこと

一つ目は前回のエントリーとも関係していますが、エンジニアやIT担当者ではなく事業担当者がデジタルプロダクトを推進するために必要なことを学び、事業の中で実践していくことの大切さです。

私はこれまでの経験の中で、IT部門に移動したわけでもないですし、エンジニアにキャリアチェンジしたわけでもありません。しかし、このように多くのDXプロジェクトを進めるには、事業部門の担当者のスキルアップが最も重要であるとを実感することができたことが大きな体験になっているのだと思っています。

【原体験2】スタートアップやフリーランスの方からたくさんのことを教えてもらえたこと

もうひとつは、自分がデジタルプロダクトを推進していくためのに、社外の人たちから学ぶことの大切さです。個人であっても企業であっても、新たなスキルを獲得したり変革を進めていくために、外部の方々の力が必要になることがあります。特に私個人の経験では、デジタルに関してスタートアップやフリーランスの方の知見から学ぶことが多かったのです。いかにこれまでの自分たちのナレッジやアプローチが限定的であったのかを知る良い機会であったと思っています。

このように私は広告代理店というところにいながら、10年以上前にこのような原体験をすることで、個人的にキャリアを変更することができ、結果的に微力ながら電通グループのDXに貢献することができたと思い込んでるわけですが、この時点では自分でGNUSのような企業を立ち上げることになるとは一ミリも思っていなかったのです。

どうして、GNUSを設立したいと考えたのか、その続きは、後編で書いていきます。

ここまで読んでいただきありがとうございました。



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