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道の駅



2018年 秋。用事があって、車で愛犬と一緒に神奈川県から石川県まで、高速に乗らないで行った。(高速道路好きじゃない)
日付けが変わる頃、とある道の駅に着いた。その道の駅は何度か利用したことがあった。同じ時間帯に通って仮眠をとったこともある。

道の駅には車が何台か停まっていて、女1人(おばさんだけど)と犬1匹の私たちでも安心して仮眠できそうだった。

寝顔を見られたくなかったので、石壁に突っ込む形で車を停めた。
エンジンを止めてさて寝ようと思った時だった。
先程まで眠っていた愛犬がムクリと起き上がった。
愛犬はきちっと座り直して前方を見た。そのままピクリとも動かない。そして私は突然 耳鳴りがし始めた。
標高が高いからかしら? 今までこんなことなかったのに。
でも疲れてたし、眠かったしで、まぁそのうちよくなるよ。と思いながら寝ようとした。
でも、耳鳴りは治らない。よくなるどころかひどくなるばかり。
頭がガンガンしはじめてきた。
前の石壁を見た。愛犬もずっと見ている。
車と壁の間に人が入る隙間はない。
それなのに、何故だろう…? 人が3人、車の前に立ってこちらを見ているような気がしてならない。
耳鳴りは止まらない。頭はガンガンする。動悸までしてきて手が震えてきた私は、道の駅を後にした。
道は狭く、横は崖の箇所があり、こんな状態で運転するのはとても怖かった。でもあそこにいることもできなかった。峠を登ってくだっている間も、症状は治らなかった。愛犬はやっぱり身動きせずジッと前を見ていた。
しばらくして別な道の駅に入った。
先程より車は少ないけれど、私だけじゃない。

エンジンを止めて一息ついた。同時に耳鳴りが止んだ。他の症状も治った。
愛犬は私の方を見ると、横になって眠ってしまった。
私も眠った。

あれはなんだったんだろう。何で3人だったんだろう…?


※これは2019年9月13日にblogにあげたものを一部修正しています。怖話サイトにも投稿しています。

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