マガジンのカバー画像

  伽の森〜くにまる夜話〜

17
運営しているクリエイター

#怖話

バチ

小学5年生の秋、父方の祖父母と同居するため一軒家に引越した。
私と姉は同室で弟は1人部屋になった。姉は早々に片付けを終え、片付けの苦手な私は、1人で足の踏み場のなくなった部屋を前に途方に暮れていた。そこへ一歳下の弟がやってきた。
「邪魔じゃけん、あっち行きんさいや!」
イライラしていた私は弟を邪険にした。対し、弟は気にすることなく辺りのものをいじる。
「物踏んで壊しんさんなよ」
そう言いながら不安

もっとみる
夜釣り

夜釣り

翌日、仕事が休みだった俺は一人、夜釣りをしに海にきていた。
予報は晴れだったのに、月も星も雲に隠れて海は夜の闇に沈んでいるかのようだった。
背後にある街灯のおかげで釣り人が立っている処は闇に困ることはなかった。

魚は釣れない。

「今日はダメだな」
隣にいた先客がそう独言て帰り支度を始めた。
去り際に俺に向かって
「あんたも今日は諦めて、早いとこ引き揚げた方がいいよ」
そう言った。そしてさらに耳

もっとみる