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漫文駅伝『三浦マイルドの田舎暮らし』 第13回 三浦マイルド

第13回「環境の変化」

どうも、三浦マイルドです。

東京から田舎に移住すれば、健康的な生活を送れると思っておりましたが、現在、全くそんな状態ではありません。

この半年で5キロ太ってしまい、腰も膝も痛くて仕方ないです。

魚が美味くて、ご飯を何杯もおかわりする様になりました。

東京にいた頃は、ほぼ外食しなかったのですが、広島の名店で、旬の魚を堪能しております。

太った原因は他にもありまして、島に戻って、歩く機会が減りました。
移動は、ほぼ車です。

東京に住んでた頃を思い返すと、駅から自宅まで10分歩くというのが、地味に良い運動になっていました。

こっちでは、コンビニに行くのも車です。
私の自宅からだと、峠を一つ越さなきゃいけないですから。

全くコンビニエンスではありません。

そんな環境なので、田舎の人は必然的に歩かなくなります。
おそらく、足腰は東京の人の方が強いと思います。

そして私が住む島にはスポーツジムがありません。市のスポーツセンターはありますが、マシンの数は充実していません。

老人中心の街なので、上半身を鍛える様なマシンは置いてないのです。

戦時中が舞台のドラマで、都市部から農村部に疎開した子供が「ひ弱な東京者め!」と虐められる描写がよくありますが、現代では逆転していると思います。
「車に依存した、成人病まっしぐらの田舎者め!」
と蔑まれそうです。

田舎者は山道を歩くからたくましいというのは、一昔前の話なのです。

生活面でも、変わった事があります。

コンビニで買い物する頻度が増えました。

東京で生活してた頃は、1円でも安いものをと思い、朝刊の折込チラシをチェックし、近所のスーパーを自転車で巡っておりました。

東京での生活の最後の二年は、コンビニで食料品を購入する事は一度もなかったです。

それくらい困窮してましたし、東京でコンビニを利用出来るのは、富裕層だけだと思っていましたから。

今でも、生活は楽ではないですが、私の家から、最寄りのスーパーまで、歩いて1時間30分、車で15分かかります。「飲み物を買うだけなら、もうコンビニで済まそうか。峠を一つ越すだけだし」となります。

それでも、スーパーでなきゃ買い揃える事が出来ないものもあるので、島で車は必需品です。

お年寄りで、車を持ってない方や、免許を返納した方は、呉や広島市内のスーパーへフェリーに乗って買い物に出かけます。

呉だと往復1000円弱、広島市内だと往復2000円強かかります。

島で節約生活をするというのは中々難しい事なのです。

※その代わりと言っては何ですが、車は空き地や広場に停め放題です。


金銭面では、実家住まいなので家賃がかからないというのはデカいです。

ただ、母の食費、タバコ代、市民税、健康保険料、便所の汲み取り代などは私が支払いしてるので、これが家賃みたいなもんです。

その実家も、かなり傷んでまして、風呂は壊れているし、ガスも閉栓しております。

先日、家の隙間から風どころか、スズメバチが入ってきて、相当ビビりました。

挙句、8月8日に宮崎県で発生した地震で、我が家のアンテナが倒れてしまい、テレビが見れなくなりました。

電気屋さんを呼ぶと、家が古すぎて屋根に登ると瓦が破損してしまうから、アンテナを窓際に新しく設置した方が良いと言われました。

見積もりで費用が三万円だと言われたので、母に「25日に給料が出たら、なおすけんね」と伝えました。

その日以降、母は夕方になると、映らないテレビのスイッチを入れて
「カープの試合が見れん、、」と寂しそうに呟くのです。

これが三日続いたので、電気屋に電話して、すぐにアンテナをつけてもらいました。

ワガママで金のかかる女ですわ。

台所の床もきしむし、これから修繕費が細々とかかるかもしれません。

色々と限界が来ている家です。

クーラーも設置しておらず、この夏の猛暑は、かなり過酷でした。

母に「ワシが買ってあげるけえ、クーラーつけようや」と言うと、

「嫌じゃ!クーラーの風、気持ち悪いんじゃ!」
と拒絶します。

「地球沸騰時代て言われてんの、知らんのかババア!!」
と怒鳴りあげてやりたいのをグッとこらえ、母が熱中症にならない様に、この夏は、ひたすら水を飲ませまくりました。

母は大丈夫だとしても、私はひ弱な現代人なので、このクーラーのない生活は耐え難いものでした。

夜中、暑苦しくて何度も目が覚めてしまいます。
深夜3時台になると若干ひんやりして、気持ちよく寝れます。

しかし朝方に目が覚めると、体も布団も汗でビチャビチャの状態です。

寝起きに冷えた炭酸水を飲み干すと、風呂上がりにビールを飲んでる様な爽快感があるのですが、どこか虚しい気持ちになります。

昼間は自宅の暑さに耐えられないので、港のクーラーが効いた待合室に行き、売店で買った新聞を2時間位かけて読みます。

読み終わった後も、待合室で株の動きを見たり、小説を読んだりしています。

近所のオバサン達に
「あんた何しよん!?働いてないんね?」
と、よく聞かれます。

「ほっとけババア!!おのれの知った事か!?」

と言いたいところですが、私も芸能人の端くれなので

「今日はオフなんですぅ」と茶目っ気をそえて返答します。

もしかしたら、町内で無職と噂されてるかもしれません。


体重増えて、膝も腰痛も悪化して、クーラーのない家で何度も熱中症になりかけもしたけど、
私はげんきです。

〈続く〉

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