なぜあの人はヨガで体を痛めるのか?
ということで、、、
ここから2週間で、4つの新しいセミナーがあって、、、。
ここ最近は、ずっと頭の中でそのことを順繰りに考えている。
1つ目はレッスンの組み立て方(これを自律神経系ベースでひも解こうと考えている。)(A-Yoga認定者講座)
2つ目は更年期障害に対するレッスンでのアプローチ(A-Yoga認定者講座)
3つ目はオンラインで行う女性のからだ学セミナー出産後の尿漏れのケースに対するアプローチ(助産師、トレーナー、インストラクター、教育関係者、医療関係者など対象。12月12日開催:ライブ視聴または録画視聴可能)
4つ目がpanasonicさんが主催されている、Panasonicくらしの大学の講座で「トップアスリートとビジネスパーソンから学んだ振り返りの大切さ」という講座(すでにキャンセル待ちとのこと、、、)
そんな中、完全なる逃避行動のnote、苦笑。
で、今日の午後はレッスンの組み立ての講座の資料を組み立てながら、調べものをしていたのだが、ふと浮かんだのがタイトルの言葉。
先日「ヨガがうまくなるためにヨガをしない理由」というタイトルでnoteをアップした。これまでにないスピード感で♡をいただいた、ありがとうございます。
そこでは手段と目的の話をしたのだが、レッスンを組み立てるうえで、
手段は、レッスンで行う内容であり、
目的は、健康な体、健全な体つくり、みたいに全体を表現するもの(目的を段階分けすると、腰痛改善みたいなのも目的として考えられる。その先に健康な体があるともいえる。)にある。
レッスンにおいて、すべてのレッスンにおいて前提として最重要視しているのが、「過緊張を緩和する」ということにある。
「なぜ過緊張を緩和する必要があるのか?」と聞かれたら、
一般的には「緊張をしていると筋肉を傷めるから」とか、「緊張していると呼吸が浅くなるから、呼吸が浅い状態だと運動の効果が上がらないから」みたいな理由が言われるのかなと想像する。
それももちろん生徒さんに伝えるわかりやすい答えとしてはありなのかもしれないが、それはなにも本質的な説明をしていないということに、指導者自身は気が付かなくてはいけない。と、思う。
過緊張のままで動いたらなぜいけないのか?
そもそも「なぜその人が過緊張を起こしているのか。」
そこを考える必要がある。
運動不足だから
ストレスが高い生活をしているから
睡眠不足だから
それらのもっともそうな理由も実は何の説明にもならない。
大事なのは、それらがなぜ過緊張を生み出すのかを考える必要がある。
柔軟性を高めれば、緊張がゆるむとか、
体を動かせば緊張がゆるむとか、
呼吸をゆっくりすれば緊張がゆるむとか、
そういった理由でヨガのレッスンをお勧めして、そういう観点でレッスンを提供している人も多いのだとは思うが、本当にそうなのだろうか?
そうなのであれば、何がそうさせるのだろうか?
そこをひも解くことが大切なのでは、、、と思っている。
話は戻るが、体の緊張状態が慢性的になっている人には何が起こっているのだろうか?
おそらくこの説明に、ここ最近よく聞くポリヴェーガル理論(Dr. Stephen Porges)の話が使えるのだと思いますが、いわゆる、迷走神経(交感神経と副交感神経)の適正な働きを考えてみるということ。
ポリヴェーガル理論の考察については、去年のクリスマスにnoteを書いているのでそちらをご覧ください。「ポリヴェーガル理論を自分なりに考えてみる」(まー、たいがい難しそうに書いているので、もう少しかみ砕かないとですね、、、すみません)
このポリヴェーガル理論的に、体の緊張ということを考えていくと、緊張を及ぼす神経系経路は2経路考えられる。
① 交感神経経路
② 背側迷走神経経路
この2つ。
もう一つの副交感神経系の迷走神経である腹側迷走神経は、不必要な緊張には関与せず、それは上2つ交感神経と背側迷走神経の働きを抑制する。
そして交感神経経路は闘争逃走反応に、背側迷走神経経路は不動反応(交感神経が過度になり、背側迷走神経がブレーキをかけると不動反応)となる。
そもそもなぜこれらの3つの迷走神経経路が存在するのかというと、私たち人類が生存するために存在する。
危険がないか、安全か、生き延びるために必要な交流をとることができるか、そういったことがこの迷走神経の働きによって制御されている。
自分の身の安全に危険が及ぶかもしれない、不確か(予測ができない)場合は、交感神経系が優位になり、いつでも闘うか逃げるかの行動がとれるように、心拍数を上げて、アイドリングからエンジンを全開にし始める。そうするとコルチゾールが分泌されて、肺機能を高めて、筋や内臓などの身体組織に必要なエネルギーを起こる準備をはじめ、筋の収縮がいつでも起きるように興奮が高まる。
そして危機的状況ではないと判断できて、交感神経のスイッチがオフになり、副交感神経に振り戻されれば、興奮状態も体の緊張も緩和されるが、自分の身の危険は去ったのに、交感神経のスイッチがオフれずに(予測違い、または誤作動を起こし)、慢性的な緊張状態が続くと、体の過緊張が持続された状態になる。
(つまりは安全なのに、危険な状態の身体的様相を維持している、ということは、体内では常に危機状態の反応を無意識・非意識下で起こしているし、脳神経系は危機的状態が維持されていると受け取る・反応する。)
そしてもう一つの経路である背側迷走神経は、不動反応と言って、フリーズ状態を起こす。これは「ちょっとこれは危ないかも、逃げる準備、闘う準備をするぞ」というレベルから、「あー、もうダメだ!手遅れ、やられる、、、」という眼前の灯を想像してみたらいいと思う。
この神経系の働きが強くなると、胃腸系の働きや消化機能、回復力などが低下するので、生命の維持が難しくなり、不活動になっていく。(このレベルになると、低覚醒なので、筋肉に力が入らなかったり、感情の動きがなくなったり、声に力がなかったりという状態が起こると言われている)筋肉に力が入らない、と言いましたが、この状態においては危機状態による不動なので、体の緊張は存在する。
つまりは、体の緊張状態というのは、こういった迷走神経系の反応として出ていると考えると、その危機状態と判断している緊張した体を動かすことが、本当に緊張を緩和する解決方法なのか、、、ということを考える必要がある。
この状態で体を動かしてはいけない、と言っているのではなく、大事なのはどう動かすのか、何を意図として動かすのかということ。
過緊張状態の人は、すでに自分の状態が安全ではないと神経系が非意識化でそう判断をしているので、そこに
「普段やったことがない動き」や
「動くはずもないと思っている動き」や、
「動かない関節を無理やり動かす」とか、
「理解不能な言葉で誘導をする」とか、
「筋肉を思いっきり伸ばす」とか、
「大勢の人と一緒に一緒のことをやることを強いる」とか、
いわゆる侵害と受け取られるような刺激、そういったことは本来であれば危機的状態を増加させる要因を加えているようなものである。
タイトルに戻ると、「ヨガに行って怪我をした、、、」というその原因は、その人の体が硬いからではなく、
「その人の神経系の状態を推測し、相手との話の中で情報を精査し、その人にとっての安全安心の場を指導する側が作らなかったことが原因である。」という視点を持つことが大切ではないか、、、と。
そしてその大前提として、「緊張、過緊張が起こっていたら、それを作っている要因を分析し、推測し、それを緩和する方法を実践に落とし込む。」ということが大事。
それを理解するためには、神経系の働きが、関節、筋肉、循環器、そういったことにどういう指令を出すのか。
どういう入力が必要になるのか(知覚行為循環という考え方)、といったことを突き詰めることが大事だと思っている。
どのように、、、の部分は、かなり漠然とした説明になったけど、過緊張を緩和するために、どのような環境設定と指導の進め方ができるのか、どんな理論を理解し、アプローチの考え方に反映させるのか、そんなことを考えるきっかけになってもらえたらうれしいなと思う。
一つの見方、考え方として受け取っていただけたら嬉しいです。
迷走神経系の80%は求心性神経だと言われているので、やはりどんな感覚入力をするのか、それがキーだと個人的には思っている。
さて、資料つくりに戻ります、、、。