かりんの青空 ~異国籍恋愛?の考察~
私とパートナーの彼は、市内にある居酒屋で楽しく過ごしていた。
すると、若い男女2人(20歳過ぎくらい)が入ってくるのが見えた。店員に席を促され、我々の横を通り過ぎると後ろの席に座った。
女の子はとても可愛く、アイドルの乃木坂にでもいそうな雰囲気。男の子も今っぽい感じで、色が白くて、フェイスパックを日々しているであろう肌のツヤ具合。
我々が美味しく食事を堪能していると、二人の会話が聞こえてきてしまう。
ん?どうやら、カップルじゃないようだな。なんか、会話もおかしいぞ。
男の子は彼女に質問をしていた。
「こ、と、しは、にほんの男の子と、つきあう?」
片言な喋り方で、イントネーションも明らかに日本人ではない。
「え~、付き合わないよぉ。そう言えば、この前、知り合った人がいたんだけど。カカオトークしようって言われて。お喋りしたら、すごい最悪で、もうブロックしようかと思う」
カカオトーク?
確か、日本で言うところのLINEのようなもので、韓国で流通しているやつ!
男の子は笑いながら聞く。
「ええ、にほんごは、うまかたの?」
「そう!うまかった。てか、日本はどれくらいいるの?」
「1年かな」
「ああ、終わったら兵役に行くの?」
こ、こ、これは!
日本と韓国の異国籍恋愛?!なんか今っぽくて、良いなぁと感じた。
私の彼いわく、「この2人、マッチングアプリかインスタのDMで繋がったとかなんじゃないか?」と考察。
そこから我々は、もう料理どころではない。日本女子と韓国男子の恋愛模様が気になって仕方がない。探偵さながらに、聞き耳を立てて、考察を続けた。
だが、我々は深入りしてしまった事を、このあと後悔する。
女の子の会話に度肝を抜かれた。
「お姉ちゃんがさ、長年付き合ってた彼氏と別れたんだよね。いい気味だなと思って。あ、あと友達も。いい気味だよ」
と言いながら笑っている。
「おい、せいかくやばいよ!それ、やばいよ」
と韓国男子は笑って、日本女子のブラックな部分をいじっている。
お、おう、正直な女の子だなぁ。
自分の友人にはいないタイプだけど。嫌いじゃない、嫌いじゃないよ、そういう子。
良く言えば、あざとさを使わない素直な子だ。(聞き耳立てている背徳感から、擁護してしまう)
その後も、その女の子はブラックな事を語り続ける。もう、嫌いじゃないよ、と擁護した事を後悔しそうなくらい。
明らかに、変なお・も・て・な・し・をしている。
「これが日本人の代表的な女子」なんて思われたら困る。
日本人=優しい の構造が幻になっていく!
だが、雲行きが変わる。その二人の席にビールが届くと、韓国男子は言った。
「もう、きょうは、しぬほどのもうよ!」
「あー、うん。私、お酒あんまり飲めないんだよね」
前の席に座る彼は、私に顔を近づけて、新たな考察を伝えてきた。
(私の席から2人は見えないが、彼は丸見え)
「あの男、たくさん飲ませて家に連れ込む気だな」
途端に女の子が心配になってきた。
(知らないおばさんが、いらない心配)
「ここ、たべたら。よくいくBARがあるから。そこでたくさんのもうね。ともだちやっている店だから、あんしん、してね」
ともだちがやってる店だからだと?
あんしん・・・出来ないだろう!!
店に入ってから、数分で、とにかくお酒飲ませて酔わせよう、としか考えてないだろ!
「かりん、まぁまぁ。食べて食べて」
そうだ、これ以上、留学生らしき男子と性格がブラックな女子の考察をしてはいけない。
もう気にするのをやめる事にした。
お腹がいっぱいになった頃には、どうやらその2人は先に帰っていた。
「このあと、女の子が安全に帰られるか。心配だわ」
と私が言うと、彼は本気か?という顔をして「はぁ?」と言った。
「あんなの、分かって付いて行ったんだよ。あの子、ビッ〇だよ。大丈夫」
OMG!!
彼の考察力の高さ!!
確かに、過去に出会った、男の子と遊んでばかりいた女の子たちを思い出すと、同じ空気が漂っていた。うなずける。
ああ、私はまだまだ考察の修行が足りない。