かりんの青空 ~幸齢者な人~
私は、20代まで正社員でいわゆるバリバリ働く日々でした。出来損ないだったけど(笑)。
紆余曲折あり、今は契約社員でコールセンターで楽しくお仕事をしております。携帯電話の操作を案内するのが主なお仕事です。
毎日たくさんの方とお話をするので、そんな人が本当にいるの?という出来事も多々ありまして。
ほっこりする事もあれば、卑猥なお客様、困り過ぎてこちらも困ってしまうお客様、お怒りが止まらないお客様、と思い出すときりがないくらい。
今は、コロナの関係もあってか二つ折りの方もスマホに機種変更し、高齢の方から問い合わせが多くあります。
従来よりも、簡単に使えるスマホが各社から出てるのも大きいのかな。
問い合わせは、メールの送り方や初めてのlineなどたくさんあるのですが。
意外と「Instagramで情報を発信しているけど、画像を小さくしてから載せたい」という方や、「YouTubeでいくつか動画をだしているが、1つだけ自分のみしか見られない状態になっている。公開範囲を全体公開にしたい」なんて相談もあり、そのアクティブさに驚いてしまう。
お話の最後に、お客さまのアクティブさを讃えると「私、もう70代よ」や80代という声を聴くことがあるので、これはもう驚くというよりなんだか希望になってくる。
何歳になってもチャレンジって出来るんだな。
とは言え、一番多いお問い合わせは携帯電話の音が鳴らないというもの。
携帯電話は鳴るのに、LINEの音だけ鳴らないという方が多く。
ただの不具合で再起動でなおったり、LINEだけ音が鳴らない設定にしているだけだったりする。
お客様からすると、何時間も自分で挌闘してもダメで、くたくたになって仕方なく電話相談。ちょっとの操作ですぐに解決、という方も多いようで。
「すごく大変だったの」と泣きそうな声を出して喜ばれる事も。
あまり多くを語らない固そうなおじい様が、解決後に「ありがとう、ありがとう、ありがとう」と三回も言ってくれた時には、簡単に解決したものでも嬉しくなってしまう。
それだけ、ご自身で解決できずに困っていたのだとも感じる。
「わからなくて申し訳ない、忙しいのにすまない」という一言を添えて質問する方は多い、高齢になると皆さん丸く謙虚になるのでしょうか。
中には、頑固すぎてお話を聞いてくださらないおじい様もいるもので。
「本当にそうなのか?信用できないぞ、お前大丈夫か」
こっちはプロでっせ!毎日やってまっせ!という思いは置いておき、「ご不安なお気持ちは理解致します。どうかご安心ください」
と伝えて案内するしかない。
「おいおい、本当に大丈夫かぁ」
人に騙されることの多い人生だったのでしょうか。
少しのお話の中でも、その方の長い人生で培った一部が伝わってきてしまうもので。
高齢女性二人からかかってきたお電話は、なぜかほっこりする時間でした。
なんの相談かは忘れてしまったけれど。契約者と友人の二人でスピーカーモードにしてこちらに電話くださった様子。
お話の最中に「あら、あんたのカバー可愛い」
「これ?ほら商店街のあそこにあるやつ」
「ああ、あれかい。あそこさ、くふふ。この前行ったよ」
「本当かい。くふふ、いつも行ってる」
「いやだ、本当に。お店の店主がまたね」
そう言って、二人で爆笑していた。
「あ、あのお客様?お話して大丈夫ですか?」
「あらいやだ」
そう言ってまた二人で爆笑。
なんてことない話で、ここまで爆笑できるなんて。なんて幸せな人生なんだろう。
その後も、何度か、いや何度もお二人で違うことで話が盛り上がり出し、笑い合っていた。
どこまでお話に踏み入って良いものか、操作案内もなかなか進まない(笑)
こちらが幸せな気持ちになるような仲の良さでした。
まさに、高齢者ではなく幸齢者。
時間の余裕、お金の余裕、精神的余裕、心の余裕、と余裕があればあるほど相手に嫌な気持ちを与えず、それどころか幸せな気持ちを広めることが出来るんだな、と多くの方とお話する中で日々感じます。
かく言う私は、残念ながら、まだどれもない!!
まいったなこりゃ。
次、コールセンターに対して怒りを放つのは私かもしれません(笑)