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Karin
2023年11月11日 17:23
たまに思い出す風景がある。 僕の父親は寡黙で、たまに笑うと眼鏡の奥の目がとても優しかった。母は明るくて柔らかい香りのする人だった。 その日は父の帰りが早く、玄関から声が聞こえると僕は喜んで駆けて行った。「おかえりなさい!」と言うと、父は手元に小さな袋を持っていた。「お母さんのところへついて来て」 そう言われ、父に頭を撫でられながら、台所で料理をしている母のところへ向かう。「これ、綺