短編恋愛小説『遠回りの恋の行方は』
◇あらすじ◇
「お前、別れたんだって?」
二年、付き合った人に別れを告げた。告白されたからという理由だけで付き合える様な、そんな女だった筈なのに、いつの間にか胸には想う人が居て。
「お前、別れたんだって?」
かつての恋人と別れてから一週間後。
残業上がりのオフィスでそう声をかけてきたのは、私が決して想いを告げる事の無い、近くて遠い、上司だった。
【本編】
二年、付き合った人に別れを告げた。
その理由は、ただ一つ。
別の人への想いに、気が付いてしまったからだった。
「ーーーお前、別れたんだって?」
人気の無くなったオフィスで、やっと終わった残業の片づけをしている時、そう声を掛けられた。
お気に入りの本革のバッグに携帯を落とし込み、私は声の主へと振り向く。
「それ、何で城島《じょうしま》さんが知ってるんですか」
ジト目で問い返す私に、残業の相棒をしてくれていた上司がガリガリと頭を掻いて苦く笑う。
こちらの棘のある態度に対してだろうが、そんな顔をするなら最初から言わなければいいのに、と内心毒づいた。
隣に立ち、なぜか火のついていない咥えタバコでよれたスーツを着こなしているのは直属の上司、城嶋 昭《じょうしま あきやす》。今年二十九歳になった私より、七歳年上の三十六歳。
一見すれば、ただのくたびれたサラリーマン、と言った風体なのに、一応ちゃんとした課長職についているから驚きだ。
朝見たときにはまだマシだった顎の剃り残しは、夜となった今ではまばらに延びた無精髭にしか見えず。
男らしい太い眉に不似合いな、優しげな垂れ目がどこか憎めない。ぱっと見はだらし無いのに、これで仕事ができるのだから人は見かけで判断できないとつくづく思う。
本当に、一見ダレた中年にしか見えないのに。
……私もアラサーだから、人の事は言えないか。
「そりゃあ、部下の話だからな。俺が聞かなくても教えてくれる奴がいるんだよ」
誰だそいつは。と追求したくなる気持ちを堪え、人のプライベートを暴露したらしい人物を内心詰る。
全くもって余計な真似を。
デスクに座ったままの私は、机上のノートパソコンを最後にパタンと閉じて、小さく溜息をついた。
「聞かなきゃいいじゃないですか。いくら『城嶋補佐係』だからって、そこまで気にしてもらう必要ないですよ」
暗に、人のプライベートに首を突っ込むな、と含ませる。
『城嶋補佐係』とは私の課内での仇名だ。
大学を卒業し、新卒で入社した当初から、なぜか城嶋課長と組まされる事が多かった。
と言ってもその頃は彼もまだ役職に付いておらず、主任という肩書きのみで。
今とは違ってパリッと糊の利いたスーツを着込み、他の女子社員から持て囃されるほどの容姿と実力を誇っていた彼だったけど、一つだけ難点があった。
営業だプレゼンだは得意な癖に、細々した仕事がからきし駄目なのだ。
この城嶋という男は。俗に言う事務仕事というやつである。
そこで、その頃新卒として入社してきた私……愛想は無いが事務系全般の資格を持っていたこの私に白羽の矢を立てたらしい。
……なんというか色々と大きなお世話と迷惑である。
そんなこんなで、課内の事務全般を担当しつつも、現在は課長となってしまった彼の陰謀で、未だに補佐係をやらされている。課では一番上の立場にいるせいか、城嶋課長の残業は多く、彼の補佐係をしている私も自動的に残業が増えていた。
……本当に、大変迷惑な話である。
残業代がちゃんと出る会社だからこそ、この苦行にも耐えられるのだ。
おかげさまで、お給料は普通のOLさんより少しばかり多い。だけどその分プライベートが圧迫されているので、稼いだ所で使い道も使う時間も無いのだが。
「……心配してるんだよ。これでも。長い付き合いだしな」
「余計なお世話です」
「お前、酷くないか」
そう言いつつも、残業上がりの課長が軽快に笑う。静かなオフィスに笑い声が木霊した。
窓から見えるのは深く透る夜の空。
部屋についている明りは、課長と私が作業していたデスク周りだけだった。
何度、この人とこんな時間を過ごしたか、それは数え切れないほどで。
仕事をやりきった後の、独特な晴れた気持ち。疲れた身体には、その達成感が心地良い。
その心地良さを教えてくれたのは、不本意だけれどこの人だ。
長い付き合いではあるけれど、恋愛事にまで首を突っ込まれるのは初めてだった。
―――二年前、他部署の男性から告白された。
その相手と別れたのが一週間前の事。
私の生活は、その前も後も変わっていない。
「お前この後時間あるか? 一杯、付き合ってくれねえ?」
ふっと片方の口端を上げ、酒を飲む仕草でそれを示す。
……完全に、おっさんの仕草だ。年齢の割に行動も顔付きも老けているから、『若親父』だの『おっさん男子』だの言われるのだ。この人が見た目に気を遣わなくなったのはいつからだったか。
出会った頃は確かに小奇麗にしていた記憶があるのに、手を抜き出したのがいつからだったかはわからない。かつては浮名をはせていた上司も、今ではただの枯れた中年扱いだ。役職者だというのに、昨今の女性は見た目を気にするせいか、老け顔のダサメンには見向きもしない。
同性でありながらもつくづく、女性とは手厳しいものだと思う。
「慰めてるつもりですか。もしかして」
「そんなんじゃねーよ。単に俺が飲みたいだけ」
軽く首を振って私の言葉を否定するわりに、その瞳の中の光は優しい。時々こういう瞳をするから、結局はこちらから折れてしまうのだ。
見つめられると、居た溜まれなくなる。
相手はただのおっさんなのに。
「わかりました。それならいいですよ。ただし、奢ってくださいね。付き合ってあげるんですから」
「お前ホント、昔っから俺にだけは偉そうだよな……俺、上司なのに」
ゲンナリとした顔でそう言う彼が可笑しくて、私は思わず吹き出した。
「で、何でまた三十手前にもなって別れたんだ?」
「……開口一番それですか」
ビールジョッキで乾杯し、一口目を含んだ後に言ったセリフがこれだ。
しかも一言多い。だから他の女子社員からはデリカシーが無いだのなんだの言われるのだ。
ビールと同じくらい冷ややかな目線を投げて見せると、またもやガリガリと頭を掻いて苦笑い。
「いやー……だってお前、入社してからずっと男いらないって言ってただろ。なのに二年前急に告られて、まさかそのままOKするなんて思ってなかったからよ」
確かに。私は周囲にそう告げていた。
相手はいらない、面倒くさい。一人の時間を楽しみたい。
元々、誰かに傍に居て欲しいと思うような、そんな可愛気のある性格をしていない。
もしそうならとっくに結婚して寿退社していただろう。そうなっていたら自分が困ったくせに、と心の内で課長に嫌味を言った。
「よくそんな大昔の話覚えてますね。自分から進んで欲しいほどじゃないって言ってたんですよ。告白してくれる様な相手がいたら話は別です」
「なんだその理屈。俺は二年前に覚悟決めたぜ?お前の結婚式でスピーチしなきゃなんねぇんだろうなって」
「何で課長が覚悟するんですか。というか課長にスピーチ頼むとかそんなチャレンジャーな事だれもやりませんよ。勝手に決定しないで下さい。それに私、結婚式とかするタイプじゃないですから」
「お前めちゃくちゃ冷めてるもんなぁ。ってことはアレか、お前のドライな態度に相手がキレちまったくちか。」
「……いいじゃないですか。私の話は」
いい加減にしろ、と視線に込めて睨むと、目の前の顔がニヤリと笑う。ジョッキの中身はまだ半分。
私も課長もお酒には強いから、一杯や二杯じゃ酔うこともない。
アサリの酒蒸しやら串物やらが運ばれてきて、それぞれ好きに手をつける。
私はどちらかというと飲みより食べるほうなので、黙々と箸を動かし、その間に課長はぐだぐだと話を続けていた。私はそれを聞き流しつつ、はいはいと普通なら腹を立てそうな相槌を返しながら飲んだり食べたりしていた。
そんな私の態度に課長は、昔のお前はああだった、こうだった、なんてまるで親みたいな事を愚痴りつつ、話題を再び不穏な方へと傾ける。
「で、結局何で別れたんだ?」
「……まだ言いますか」
何度目かの同じ質問に、私は何杯目かのグラスをテーブルに置いて溜息をついた。
今日に限ってやたらとしつこい。苛立ちはしないがめんどくさい。
なぜ、原因の一端を担っている人間にそんな質問をされなければいけないのか。
気付かせるつもりもなければ、言うつもりもないけれど、意中の人に自分の別れ話を酒の肴にされるのは、どうしたって気分の良いものではない。
私が相手と別れた理由。
それは、私が好きなのは、目の前のこのくたびれた男だと気付いたからだ。
『俺、年下興味無いんだよな』
入社から暫くして、笑ってそう言われた日の事を覚えている。
軽いはずの一言が、妙に重く圧し掛かった。
思えば、あの頃からこの人へ気持ちが傾いていたのだろう。私が気付かなかっただけの事で。
それは今となっては、小さな棘になり、私の胸に常に痛みを感じさせている。
「私が別れたいって言ったんですよ。それだけです」
「へえ、お前が振ったのか」
「そうです」
「ふーん、で、理由は?そこが聞きたいんだけど」
内心、舌打ちをした。これだから営業職についている男は。目敏いというかなんというか。
答えているようで答えていない、その部分を突かれてしまった。
まったくもって面倒だ。
私が別れると言ったから別れた。それでいいではないか。
これ以上の理由を聞くのはナンセンスだ。
「……」
「何だよ。俺にも言えない事か? ったく、水臭せぇな、何年の付き合いしてんだよ」
自分が部外者である事を棚に置いて、なぜかぶう垂れてくる目の前の中年に、さすがに少し腹が立った。
普段ならまだ酔わない筈の酒量だが、今日は飲んだ相手が悪かったのかもしれない。
心の波が、さざめいた。
「他に、好きな人ができたからですよ」
実際は、『好きになっていた事に気付いた』からなのだけど。
少し間を空けて告げ、ごくりと一口啜って誤魔化した。
そんな私に、課長が一瞬だけ目を細めた気がした。
「……へぇ。じゃ、今度はソイツと付き合うのか?」
唐突とも言える挑戦的な言葉に、眉を顰める。
私に喧嘩売ってるんだろうか。この人は。
……確かに、二年前も『告白されたから』なんて理由でなんとなく付き合った女だけれど。
そんなホイホイ次の男にいくように見えているのだろうか。付き合いが長いだけ、余計に傷ついた。
好きな相手がいるからといって相手とそう簡単に付き合えるわけが無い。そんな事、わかりきった事だろうに。しかもそれが、長年人を雑用係にしてくれた現上司だとは。付き合うどころか、言葉にすることすら、出来るわけがない。
太眉に垂れ目に無精髭。この顔が笑顔になる瞬間を、好ましいと思いだしたのはいつだったか。
普段はのんべんだらりとしているくせに、仕事となれば人が変わった様に厳しくなって、私も容赦なくしごかれた。この人の言葉に、落ち込んだ日々もあった。だけどそんな時に限って、こうやって飲みに付き合わされて、さりげないフォローを入れてくるのだ。
今日だって、結局は私を心配しての事だろう。基本的に人が良いのだ。それ故彼を慕う社員は多くいる。
押し付けられた彼専属の補佐係という役割も、時間の圧迫はあれど頼られている事自体は嬉しかった。
想いが形に変わるまで、それほど時間は掛からなかった。
だけど、それが『恋』だと気付くのに、二年もかかってしまった私は馬鹿だ。
断られる事などわかっている。仕事に支障をきたすくらいなら、死んでも口にするものか。
そう心に決めて毎日を過ごしているというのに、まさかその課長本人にそんな事を言われるなんて。
「人をそんな軽い女みたいに言わないで下さい。課長、悪酔いしてるみたいですね。私今日はもう帰ります」
「待てって」
少しの苛立ちを抑えながら、財布からお札を取り出し机に置いた。奢れと言ったけれど本気では無い。大体の計算しかしていないけれど十分足りるだろう。制止の言葉を無視して立ち上がると、同じく立ち上がった課長に腕を掴まれた。
「悪かった。言い過ぎた。お前が帰るなら俺も帰る。送るから、待ってろ」
思いの外強い力に、少し驚く。
怪訝そうな顔をする私に構わず、課長は飲み残しのビールを置いてさっさとお勘定を済ませてしまった。
私が出したはずのお札は、なぜか無言で突き返された。
店の暖簾をくぐって外に出ると、もうとうに夜は暮れていた。
当たり前か。仕事が終わったの自体が遅かった。
大きく傾いた月が、時間が経っていることを教えてくれる。時計を確認すると、終電まではあと少しという頃合だった。
店を出てきて丁度良かったのかもしれない。
吹き付ける冷気に思わずぶるりと震えると、傍に立つ課長が再び私の手を取った。
「課長?」
課長は私の問い掛けに応えず、掴んだ手をぐいぐい引っ張り、駅前方面へと進んでいく。
まだ時間はあるから、そんな足早に急ぐ事は無いのに、不自然なほど課長の歩む足は早い。
無言のまま、課長の背中を見つめた。くたびれたスーツの、年齢よりちょっとばかり老けて見える上司は、当たり前ながら体躯は男性のそれだった。
先ほどの苛立ちがどこかへ消えて、見慣れたはずの広い背中に、アルコールのせいか鼓動が跳ねた。
手を繋いでいる、という事に気が付いているのに、それを無理に外す気にはならなかった。
逆上せた頭で眺めていると、それまでぐんぐん進んでいた課長の足が突然止まる。
駅はもうすぐ目の前にある場所で、なぜか私達は立ち止まっていた。時間の遅さからか歩く人影は少なく、駅前ならではの明るい街頭の明りが夜の空を煌々と照らしている。
「……課長?」
再び、課長の背中へ声をかける。行動の意味はわからないが、いつも通り終電に乗って帰るのだから送ってもらうのはここまでで十分だ。妙な酒盛りになってしまったけれど、明日になればまた、普段と同じ調子に戻るだろう。
なんだか今日は、課長も私もらしくない。いつもと違う。
繋がった手に目をやって、普段ならありえないな、と考える。だからこれはきっと、課長なりの私への慰めなんだろうと思う。
恋人と別れたばかりの部下の話を聞いて、駅まで送る。先ほど言われた、次はソイツと付き合うのか、なんて言葉も、大した意味は含んでいないのだろう。次の恋に移るのか、とただ問われただけの事。それだけだ。勝手に傷ついたのは私が悪い。
この繋いだ手を、離したくないなんて思ってしまう、私の心が悪いのだ。
このまま一緒にいたら、なんだかとんでもない事を自分が口にしてしまいそうで、恐くなる。
名残惜しくはあるけれど、この手を離し私はいつもと同じ帰路につこう。
そう思ったところで、未だ繋がれたままの私の掌が、ぎゅっと強く課長に握り締められた。
―――え?
「お前が、誰に惚れてるなんか知らん。けど、俺にしろ」
握りしめた手をそのままに、課長が背中越しに私に告げる。
「は……?」
「俺にしとけよ」
言われた事の意味がわからずに、その背を見ながら身体も思考も停止した。
離れた場所を歩く人の足音だとか、車の走る音だとか、全てがどこか遠くなる。
俺に、しとけって―――
今、そう言ったの?
「ちょ、ちょっと課長……? 貴方、酔ってます? 何言ってるか、判ってますか?」
一瞬止まった思考を、無理矢理覚まさせ目の前の背中に問い掛けた。
すると、大きな身体がゆっくりした動作で振り向いて、強い視線が、私を上から見下ろす。
「二年前、諦めるつもりだった。けど、無理だった」
空気を止めるほどの真摯な瞳が、言葉と共に向けられる。
目を見開き驚く私を、ぐいと引き寄せ広い胸が私を受け止めた。
二年前、という言葉。諦めるつもりだったという言葉。
最後の、無理だったという言葉。
三つの言葉が頭を巡り、混乱で真っ白になっていた。そっと私の身体に回された課長の腕を、止める事も、逃げる事も出来ずに、ただ私はされるがままに、言われた言葉を反芻していた。
「う、そ……」
じわりと浮かんだ涙が、辛うじて瞳の端に引っかかる。
「ずっと、好きだった」
正面からふわりと抱き締められて、浮かんだ涙が一筋零れた。
「お前が俺の補佐係になる前から。ずっと。お前を補佐にして、仕事でだけ俺のものにしたつもりで居た。いつか、それ以外も全部、自分のものにしたいと思っていた。だけど、突然横から掻っ攫われた。お前が幸せなら諦めようと思ったけど、無理だった」
ぎゅうと抱き締められた温もりに、スーツ越しに伝わる熱に、心臓が、鼓動が、早くなる。
耳元で告げられる課長の声が熱を含んでいる様で、その腕に囚われたまま、動けない。
彼への想いに気付いてから、何度も夢見た状況が、今、私の身に起こっている。
―――夢、じゃないの?
「お前が別れたと聞いて、チャンスだと思った。付け込むチャンスだと。卑怯なのは判ってた。なのに……お前は既に、他に惚れた男がいるなんて言うんだもんな。付け込む隙すら、与えてもらえない」
「そ、れは……」
違う。その惚れた男というのは課長の事だ。
だけどそれを言う前に、私を抱きこむ課長の腕が、ぎゅうと体を締め付け言葉を奪う。
「他に誰を好きでもいい。今ここで、俺を突き飛ばして帰るか、それともこのまま、俺の所へ来るか、選んでくれ。それで、俺もケジメをつける」
ケジメ、という言葉に反応してびくりとすると、課長がふっと小さな溜息を零し言葉を続けた。
「だらだら続けてた片想いに終止符を打つなら、本人からの拒絶が一番効果的だろう?」
そう言って、困ったような笑みを浮かべて、課長が私を覗き込む。
その瞳は、恐いくらいに真剣だった。
「本気で嫌なら、今すぐ帰ってくれていい。だけど、そうじゃないなら……」
真っ直ぐ見つめてくる彼の瞳に吸い寄せられる。
ずっと欲しかった言葉を受けて、喜びで潤む視界にはただ想う人がいた。
願った事はあった。この人に必要とされること。
補佐係としてじゃなく、一人の女として必要とされる事。
その願いが叶うとは、微塵も思っていなかった。
私は、私の身体を抱き締めるその人を、今度は自分の腕で、抱き締めた。
同時に告げた、一つの言葉。
『私が好きなのは、貴方です』
人がまばらに行き交う深夜の駅前で、街頭の陰私達は、互いの想いを打ち明けた。
ーーー遠回りをした。
恋していることに、気付けなかった。
彼の気持ちに、気付かなかった。
いつか途切れてしまうだろうと思っていた想いは、巡り巡って、一番幸せな場所へと、行き着いた。
遠回りの恋の行方ーーーその幸せは、すぐ傍に。
終