カーコラム 「天使と悪魔が同居する究極のスポーツセダン " ランチャ・テーマ 8.32 "」
外見上はどこから見ても地味な4ドアセダン、しかしボンネットを開けた瞬間、いきなり飛び込んでくる「Ferrari(フェラーリ)」の文字!
ランチャ・テーマ8.32は、ランチャの高級セダン「テーマ」に、フェラーリ308GTBのV8 32バルブエンジンを搭載したスペシャルモデルである。
日常の中の狂気、天使と悪魔の二面性を持ったこのクルマこそ「羊の皮を被った狼」と呼ぶに相応しい究極の4ドアスポーツセダンである。
しかし、快楽と苦痛は表裏一体、機嫌良く走らせるためにはメンテナンスも半端じゃない。
発熱の大きいV8 DOHC 32バルブエンジンを狭いエンジンルームに搭載しているため、夏場のオーバーヒートは当たり前。
しかもイタリア車の常で、冷却系も弱いという" 悪魔の二重奏 " 。
さらに、お決まりの電気系の弱さも重なり" 悪魔の三重奏 "。
そして、まるで「Xファイル」の如く続発する原因不明のトラブル。
駄目押しは、オイル滲みと超越したオイル漏れ。
まさにトラブルのオンパレードは数え上がればきりがない。
そのすべてを赦し、そして愛さなければならない、この類まれな駿馬に乗る資格はない。
ランチャ・テーマ8.32乗りの合言葉は「一緒に地獄を見ませんか?」
しかし、機嫌のよい状態ではこれほど素晴らしいクルマは他にはない。
フェラーリ製のパワーユニットは、セダン用に幾分かディチューンされてはいるものの、澄んだフェラーリV8サウンドは最高。それはまさに歓喜の歌。
ステアリングコラムにあるスイッチによりコントロールする「格納式スポイラー」が、羊の皮を被った狼であることをさりげなく誇示している。
豪華な革張りのインテリアの中で聴く官能のフェラーリサウンドを一度でも味わえば、どんなメンテ地獄を見ようとも、もう二度とこのクルマの魅力から逃れることはできない。
因みに、車名最後に付く「8.32」はV8 32バルブを表している。
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