カーコラム「ISUZU PF60型ジェミニZZ Rの思い出 Part.14」
PF60型ジェミニZZ Rのクラッチは、油圧式ではなくワイヤー式である。
複雑な油圧機構を持つ油圧式に比べ、ワイヤー式は構造が単純で壊れにくいのが特徴だ。しかしその反面、油圧によるアシストが無いため、クラッチの踏力が重いというデメリットもある。
PF60型ZZ Rの場合、クラッチカバーの圧着力はそれほど高くなかったためか、踏力はそれほど重いとは感じられなかった。むしろライバルのTE71などに比べるとダイレクトな繋がり感で自分好みだった。
ワイヤー式は、クラッチの「遊び」を自動調整してくれる油圧式とは違い、定期的な「遊び」のチェックが必要だった。クラッチプレートの摩耗が進むと「遊び」が少なくなり、ワイヤーがパンパンの状態になる。
ワイヤー式は「遊び」のチェックにより、クラッチプレートのおおよその摩耗状況もチェックが可能なのだ。
PF60型ジェミニZZは日本で最初にガングリップタイプのシフトノブとピラミッド型をシフトブーツを採用したクルマである。
さらに、ZZのシフトレバーの位置は運転席左真横、センタートンネルの真上に変更された。ドライバーがシートに座り、左手を自然に下ろすと、そこにホールド性と操作性に優れたガングリップタイプのシフトノブがあるという実に心憎いレイアウトとなっているのだ。
シフトレバーの位置変更にともない、ワイヤーとリンケージを組み合わせたシフトリンケージにより遠隔操作する「リモコンシフト」が採用された。そのシフトフィールは剛性感の高いダイレクトなもので、ワイヤーリンケージを使った遠隔操作にありがちなディレイもほとんど感じられなかった。
コストを度外視し、ドライバーの満足感を最優先させるといういすゞ技術陣ならではのこだわりである。
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