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.40S&W弾仕様のSIG SAUER P229こそ最良のセルフディフェンスガンである

 最良のセルフディフェンスガンを一丁だけ選べと言われたらとしたら、躊躇なく.40S&W弾モデルのSIG SAUER P229と答えるだろう。

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 .40S&W弾の名称は、正式には " 10x22mm Smith & Wesson " で、文字通りS&W社が開発した拳銃用の弾丸である。

 正直、コスト面から考えると9mmパラベラム弾の方が安価で良いのだが、やはり.40S&W弾のマンストッピングパワーは捨てがたい。

 現在アメリカでは、70年代に流行した擬似獣人化現象を引き起こすPCP(フェニルシクロヘキシルピペリジン:phenylcyclohexylpiperidine)が再び流行の兆しを見せている。

 PCPは人間の大脳新皮質を完全に麻痺させ、大脳新皮質が司る理性、モラル、感情といった人間的要素がすべて欠落するため、服用した人間は一時的に擬似獣人と化す。

 さらに通常は身体に過大な負荷を与えることを抑制している大脳新皮質が麻痺することにより、身体機能に関するストッパーが外れ、一時的にマウンテンゴリラ並の筋瞬発力を発揮し、痛みも全く感じなくなるため、擬似不死現象をも引き起こす。

 70年代のアメリカでは、虐められた子供(小学生)がPCPを服用し、虐めた相手を素手で撲殺するという信じ難い事件も起きている。

 また、NYではPCPの服用により擬似獣人化し、通り魔的犯行を繰り返しながら街を彷徨していた中毒患者が、通報を受け急行した警察官2名を噛み殺し、.357マグナム弾を3発以上被弾して逃亡、応援の警官隊に追い詰められ、最終的には計30発以上の.357マグナム弾や12番ゲージのショットガンを打ち込まれてやっと沈静化するという凶悪事件も発生している。

 こうした事件から、アメリカの警察は、それまでのリボルバー偏重から、多弾倉で手返しの早いセミオートマチック拳銃へとその主軸を移行していった経緯がある。そしてその中心的弾丸が9mmパラベラムであった。

 しかし、9×19の9mmパラベラム弾は、ハイマズルベロシティで弾丸自体もコンパクトで多弾倉化に最適な反面、.45弾ACPに比べ弾丸重量が軽いためインパクトパワーに欠け、マンストッピングパワーでは.45弾ACPに劣るという欠点があった。

 そのため、コンバットシューティグの始祖であるジェフ・クーパーは「10mm弾こそ最も理想的な弾丸である」と提唱し、それに対応するハンドガンの開発を推奨した。

 その一例が80年代に登場したブレンテンやコルト・デルタエリートであったが、当時はまだまだその良さが認められず、マイナーな弾丸であった。

 さらに、弾丸の全長が.45ACP同様の32mmであったことから、9mmパラベラム用のフレームでは発射の衝撃に耐えられずトラブルが多発した。その対応のため、大柄で頑丈な.45ACP用のフレームをベースにする事を余儀なくされたため、無駄に大型化してしまった。「でかい割にはパワーは9mm並」と揶揄されたのはそうした所以である。

 S&W社は、こうした10mmオートの失敗を分析し、10mmオートの弾頭とブロック基部が使え、9mmパラベラムのフレームサイズで収まる実包として.40S&W弾を開発した。

 .40S&W弾のケース長は9mmパラベラム弾の19mmに比べ22mmと大柄ではあるが、全長7mm余りの弾頭がケース内に深めに潜り込む構造になっているため、弾丸の全長としては9mmパラベラムより短いサイズとなっている。

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 9mmパラベラム弾よりもマンストッピングパワーに優れ、.45ACPよりも反動もマイルドで、しかも多弾倉化にも対応可能な.40S&Wは現在、USの法執行機関からは引っ張りだこ。全米の警察はもちろんのこと、FBI、DEAなどでも数多くのエージェント達が.40S&W弾を使用するセミオートマチック拳銃をセフルディフェンス用として使用している。


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鳴海邦彦 / KUNIHIKO NARUMI OFFICIAL
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