エッセー「UFOブームの火付け役 "謎の円盤UFO"」
「1980年代、人類はすでに地球防衛組織S.H.A.D.O.(シャドー)を結成していた。S.H.A.D.O.(シャドー)の秘密基地は、ロンドンのとある映画会社の地下深く秘密裏に造られ、沈着冷静なストレーカー司令官の基、日夜謎の円盤UFOに敢然と挑戦していた」。
矢島正明氏(スタートレックのカーク船長の声)の名調子で始まる「謎の円盤UFO」は、1970年から1971年にかけて、日本テレビ系列で毎週土曜日の午後8時から放映された。
記憶が確かならば、番組スポンサーはSONYだった。
「SONY、SONY、トリニトロンカラー~♪ ララ、シュビーラ、ランランラララン 世界のSONY~♪♪」
今でも、疲れた時にループするこのコマソン、やはりコマーシャルの基本はフレーズの繰り返しとコマソンのループである。
閑話休題。話を本題に戻そう。
このドラマが放映された当時は小学校5年生から6年性の頃。大阪で開催された大イベント・万国博覧会(通称・万博)を見た興奮が冷めやらぬ時期だったこともあり、このドラマに描かれた来るべき未来、1980年への期待と関心は一気に高まった。
「空想科学ドラマ」という免罪符を武器に、「科学の勉強のため」という詭弁を弄して毎週欠かさず観ていた事を懐かしく思い出す。
しかしその本当の目的は、月面のムーンベースでキラキラのギンガムチェックの超ミニワンピースのユニフォームを身に付け、なぜか頭には紫色のマッシュルームカットのカツラを被っているセクシーなオペレターが見たいからであった。
万博で生まれて初めて大量の外国人を目撃したカルチャーショックは、後のパツキン(金髪)コンプレックスシンドロームとして、深く心に刻まれる事になるのである。
60年代のサイケデリックムーブメントと70年代のモンドカルチャーが融合したこのドラマ、思い出深い世代もそうでない世代も必見である。