カーコラム 「回想 幻のスーパースポーツカー "NISSAN MID4-Ⅱ(ニッサン ミッド4-Ⅱ)" 」
1985年のフランクフルトショーでベイルアウトされた ' NISSAN MID4 ' は、当時導入が噂されていたWRCの新カテゴリー ' Gr.S ' での実戦投入を念頭に置き開発されたプロトタイプスポーツカーである。
FRP製のグラマラスなボディ中央部には、最高出力230psを搾り出す新開発の3.0ℓV6 DOHCエンジンが横置きで搭載され、そのパワーはビスカスカップリング式のフルタイム4WDシステムにより無駄なくに路面伝達される。
サスペンションは前後ともマクファーソンストラット式で、先進的な4WS(4輪操舵)システムも採用している。
発表から2年後にの1987年に開催された第27回東京モーターショーでは、より市販バージョンに近いMID4-Ⅱが登場。
ツインターボとインタークーラーで武装し、最高出力330PSにまでパワーアップしたVG30DETTエンジンを縦置きミドに搭載。サスペンションもフロントがダブルウィシュボン、リヤがマルチリンクへと進化した。
いよいよ市販化かと期待されたMID4だったが、当時のクルマ環境を取り巻く大人の事情により、結局市販は見送られてお蔵入りとなった。
1985年10月に富士SWで開催された ' WEC JAPAN ' のペースカーとして、豪雨の中、無敵のポルシェ962軍団や日産のCカーを従えてコースを周回したあのシーンは、自分のモータースポーツ取材人生の中でも非常に思い出深いシーンである。
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