カーコラム「ISUZU PF60型ジェミニZZ Rの思い出 Part.11」
ジェミニPF60型ZZ Rの心臓部であるG180WE型エンジンの点火系は当時では珍しいフルトランジスタ方式だった。
マグネットセンサーと半導体スイッチで構成された無接点式のため、コンタクトポイント部のメンテナンスの必要もなかった。
しかし、一度だけトラブった事があった。
ある日、エンジンをかけたところクランキングはすれども一向に始動しない。ありゃりゃ? と思いボンネットを開けて調べたが原因が分からず、仕方なくJAFを呼んで近くの整備工場に運んでもらった。
原因を調べてもらった結果、なんとディストリビューター内にある「シグナルジェネレーター」と呼ばれる部品の突起部分が一部欠けている事が判明した。
よくぞ発見したものである。ディーラーのサービスであれば、すぐに点火系の全取り換えで終了だろう。
町の整備工場には腕利きのメカニックがいるものである。
取り急ぎいすゞのパーツセンターから部品を取り寄せる事になったが、いすゞの純正部品はデリバリーが遅いので有名。部品が届くまで2週間もかかるという事だった。たった150円のパーツがである。
それを聞いたメカニックは、取り急ぎ動くようにと、欠けた部分をハンダ盛りで補修してくれた。
マグネットセンサーは非接触で高回転しているため、そのエアギャップが微妙だが、それを目測で測り正確に成型したのだ。まさに職人技である。
ディストリビューターに取り付け、イグニッションを回すとG180WE型エンジンは再び息を吹き返した。
しかし、なぜ無接点・非接触の電子ピックアップ部分が壊れたのか?
今にして思えば、恐らく北富士演習場での悪夢のダート練習会が原因である。
ノーマルはエンジンマウントが甘いので、ハードなダート走行でエンジンが激しく上下した際、ディスビ内のドリブンギヤが微妙にずれ、ディストリビューター内壁とシグナルジェネレーターが接触を起こしたのではないかと思われる。
すべては身から出た錆、自分が原因である。自業自得という奴だ。