ドライビングテクニックベーシックPart.1 「ドライビング・ポジション 」

 スポーツには決まったフォームというものがある。それはモータースポーツでも同じだ。ドライビングに関していえば、正しいドライビングポジションがこれにあたる。

 ドライビングポジションを決める際には、ステアリング操作のしやすさを最優先させたい。スポーツ走行において、変幻自在にマシンを操るためには、まず正確なステアリングワークが必要となる。そこで、ステアリングがもっとも操作しやすい位置に設定して最適なドライビングポジションを決定する必要があるのだ。

 ステアリングを操作しやすくするためには、できるだけ"腕がラクに動かせる位置"にシートをもってくることが重要。腕がラクに動かせるというのは、抽象的ないい方で申し訳ないが、"近すぎず、遠すぎず"にするのがベスト。

 「ストレートアームがカッコイイ」などと思っている諸君もいるようだが、これは論外だ。

 恐らく、フォーミュラドライバーのドライビングスタイルがそのように見えるからなのだろうが、フォーミュラマシンだって実はちゃんとヒジを曲げて操作している。

 ストレートアームでは腕に力が入らないので、どうしても操作がワンテンポ遅れてしまうのだ。もちろん人によって体格は違うので、はっきりステアリングから何センチとはいえないが、ヒジが直角に曲がる程度までステアリングに近づいた状態がいいだろう。

 そして、そのうえでシートの前後位置を決定する。前後位置というのは、いうまでもなくペダルとの距離だ。

 もっとも奥まで踏み込むのがクラッチペダルなので、クラッチを踏む左足に合わせて前後位置を決めるといい。その場合、左足がクラッチペダルを目一杯踏み込んだ状態でややヒザが曲がる程度、といったところか。

 ただし、リクライニング式のシートの場合は、最初にシートバックの角度を決めてしまうとシートを前後に動かしたら再びシートバックの角度を変えなければならなくなる。したがって、順序としては最初にペダルまでの距離を合わせてからシートバック角度を調整するといいだろう。

 またペダルについては、クラッチに合わせると、車種によってはブレーキペダルが異常に手前に来てしまう場合もあるかもしれないが、そういうときは、ブレーキペダルの高さを調整するといいだろう。ただし、ブレーキペダル位置の調整はシロウトが手を出すと危ない。できるだけショップや専門家に任せたほうが安心だ。

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鳴海邦彦 / KUNIHIKO NARUMI OFFICIAL
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