エッセー 「ランボルギーニ・カウンタック水面三段跳び!「キャノンボール3 新しき挑戦者たち(米国タイトル:Speed Zone!)」
人生これまで夥しい数の映画(特にB級、C級アクション映画)を観てきたが、あのランボルギーニ・カウンタックがグラベルロードを「お前はランチャ・ストラトスか!」と思わず突っ込みを入れたくなるほど見事なカニ走りで駆け抜け、挙げ句の果てには、まるでJT150いすゞジェミニがCMで魅せた「川越ジャンブ」をも凌駕する驚異の" 三段跳び " ジャンプまで披露するという、思わず口ポカン、頭ウニウニのオープニングシークエンスから始まる映画は、後にも先にもこの映画しか知らない。文字通り空前絶後。
その映画こそ1981年に公開されるや全米はおろか世界的な大ヒットとなった「キャノンボール」の続編として1984年に製作されこれもまた大ヒットとなった「キャノンボール2」から5年後の1989年に製作された"三匹目のどじょう"「キャノンボール3 新しき挑戦者たち(米国タイトル:Speed Zone!)」である。
この作品、一応前作の流れを引き継ぐ続編なのだが、前2作が香港の財閥系映画会社ゴールデンハーベスト社が莫大な制作費をつぎ込み、主演のバート・レイノルズを初め、当時考え得るハリウッドオールスターキャストだったのに対し、前2作のプロデューサーだった香港の超大物 ゴールデン・ハーベスト社のレイモンド・チョウの名前は一応クレジットされてはいるものの、出演者及び制作スタッフは全員マイナーで、映画的観点から観れば前2作よりは遥かに見劣りするのは否めない事実。
しかし、その分、ストリーの奇抜さと、メインであるカーアクションに工夫を凝らし、キャノンボールシリーズのハチャメチャ感を踏襲しつつ、前2作とは一味違った作品に仕上げられているのが特徴だ。
先述したランボルギーニ・カウンタックのオープニングシークエンスだけでも一見の価値は充分にあるので、往年のスーパーカー少年にとっては必須と言える作品だろう。