カーコラム「メルセデス・ベンツW201型190E2.3-16の思い出 Part.6」
世界で初めてマルチリンク式サスペンションを採用したのはメルセデス・ベンツW201型190Eである。
複数のリンクにより構成されるマルチリンク式サスペンションは剛性が高く、タイヤの描く軌跡も正確である。そのためタイヤの路面追従性に優れ、いかなる路面変化に対しても常に安定した接地性を確保することが可能となる。
しかしその反面、後続が複雑になるため製造コストが割高になるという欠点がある。
そんなマルチリンク式サスペンションをエントリークラスである190Eに投入するあたりがメルセデス・ベンツのメルセデス・ベンツたる所以である。
「最善か無か」のモットーは誇張ではない。求める性能を得るためにはコストは度外視する、ゲルマン民族の心意気である。
190Eのスペシャルモデルであるメルセデス・ベンツW201型190E2.3-16のリヤサスペンションはフラットライドな乗り心地と操縦安定性を実現するため、マルチリンク式サスペンションに加えハイロドマチックシステムを組み込んだ専用のショックアブソーバーが採用された。
専用ショックアブソーバーの減衰力は、エンジンルーム内部に設置されたアキュムレータにより油圧で制御される。
このシステムを組み込んだリヤサスペンションのスタビリティリニアリティは素晴らしく、特に荒れた路面やうねりのある路面では卓越した操縦安定性を発揮した。
うねった路面に高速で進入した時でもリヤの不快な突き上げや乱れは皆無だった。
その堂々たる操縦安定性は従来の小型車の枠を遥かに超えるものであった。
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