カーコラム「2002年夏 GT-Rレクイエム」

 以下の原稿は、2002年、当時総合プロデューサー兼編集長だった日本初のブロードバンド特化型カーサイト Car@nowに寄稿した自らの原稿である。

ありがとうGT-R、そしてさようならGT-R!

 2002年夏、脈々と続いたGT-Rの歴史が一旦、その幕を閉じる。そんなGT-Rに贈る挽歌。

 レースで勝利することを宿命として生まれたGT-Rの歴史が、5代目となる現行モデルR34型GT-Rで一旦、その幕を閉じる。走りを愛するすべてのドライバーに夢と希望を与えてくれたGT-Rへの熱い想いを込めて送る、哀愁の挽歌・GT-R大特集!

 幻の名車と呼ばれた2代目GT-R・KPGC110の生産中止から17年後、栄光の赤バッジは不死鳥のごとく蘇った。

 歴代3代目となるR32型スカイラインGT-Rは、1989年8月にデビューした。レースで勝利することを宿命として生まれてきた歴代GT-RのDNAを受け継ぐR32型GT-Rは、当時のツーリングカーの主力カテゴリーであったGr.Aレースで連戦連勝を続け、新たなGT-R神話を築きあげた。

 Gr.Aレースでの使用を前提に開発された名機・RB26DETTエンジンを搭載し、ハイテクを駆使した最先端のトルクスプリット式4輪駆動システム・ATTESA-ETSで武装したR32型GT-Rは、その圧倒的な速さで世界各国のサーキットを席巻した。衝撃的な復活劇とGr.Aレースでの快進撃により世界を震撼させたR32型GT-Rは、その後、4代目GT-RとなるR33型GT-Rへと進化する。

 R33型GT-Rは、R32型GT-Rで問題となった前後の重量バランスの改善やボディ剛性の向上、さらに全車にブレンボ社製のブレーキシステムを採用するなどより一段と戦闘力の向上が図られたものの、ベースモデルとなるR33型スカイラインが先代のR32型スカイラインに比べ大型化してしまったことが車両重量の増加を招き、いま一つインパクトに欠けるモデルとなった。

 その汚名を挽回すべく、1999年1月、5代目GT-Rとなった現行モデルR34型GT-Rへと進化する。販売的にも伸び悩んだR33型スカイラインの反省から、大幅にシェイプアップされたボディフォルムとなったR34型スカイラインをベースとしたR34型GT-Rは、歴代GT-Rの頂点を極めた。

 そして2002年夏、R32型GT-Rから正常進化を続けてきたGT-Rの歴史は、一旦その幕を閉じることとなった。しかし、レースに勝利することを宿命として生まれてきた生粋のサラブレットのDNAが途絶えることはない。恐らく近い将来、必ずや栄光の赤バッジは復活し、再び我々の前にその勇姿を見せてくれることだろう。21世紀型GT-Rの誕生に期待したい。

 走りを愛するすべてのドライバーに夢と希望を与えてくれたGT-R、ありがとう!


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