怪しい場所で出逢った怪しい霊媒師に「天狗が左肩に乗ってる」と怪しいことを言われた。待てよ、そーいえば昔から時折左肩にレントゲンには映らない謎の激痛が走る。 義経が天狗と修行してたと専ら噂の京都・鞍馬寺の奥の院へ行くよう促され行ってみた。待てよ、そーいえば小5の夏休みに、タイムスリップして義経と平氏をやっつける最高に面白い小説を書いた。 道は険しく、隆起した木の根っこが足首をガンガン狙ってくる。汗だくで到着すると、奥の院・魔王殿前のベンチに年配のおばさん二人が座っていた。その二
The Beat記者「キャッツはゴミ映画である。犬の生誕以来、猫にとって最悪の出来事だ」 Polygon記者「キャッツとは、第三の目が開きアストラル界を覗き込むことができるようになるような幻覚体験である」 ハリウッドリポーター記者「キャッツは今年見た中で一番酷い映画だ。あまりに醜い映画だったので、記憶から消せないかと願うほどだ」 日本公開前からとんでもない海外評論が漏れ聞こえ、私は愕然とした。なぜならドラマーとして、非常に優秀な演者達と共にミュージカル『CATS』を取り上げ
「お客様の中にドラマーの方はみえませんか?」 もう富士山は通りすぎたのかな。そんなに都へ頻繁に行くわけじゃないんだから、写真撮っとけばよかった。けど、どうせそんなに綺麗に撮れないし、まあいいか。そんなことはどうでもいいんだけど、さっきの夢?夢だとしたら俺の創造力はなかなかのもんだよな。現実だとしても、みんなイヤホンして、中にはヘッドホンなんかしちゃってさ、どんだけいい音で聴きたいんだよって。大抵、ああいう奴は家に帰って音楽聴かないし、何より部屋のスピーカーめちゃショボい。
「え、もう一度、いいですか?」 「はい。ゆっくり申し上げます。診断結果は顎睡眠時突出症《あごすいみんじとっしゅつしょう》です。大変珍しい症例でして、割合としては二十三億人に一人。その名の通り眠っている間、顎が前方にせり出した状態になっています。無意識のうちに。」 「せり出してるって、、ちょっと待ってください、全く状況が飲み込めず、あの、僕、寝ている時しゃくれているってことですか?」 「はい。その通りです。無意識のうちに。」 「その、無意識のうちにってやつ、二回も言わなくていい
畳屋の息子である僕は、まろやかな「い草」と毒のある機械オイルの匂いに包まれて育った。小学校から帰ってくると作業場の隅っこで父の仕事をずっと眺めていた。 ヘリを自動で縫い付ける機械から木製の平台へ畳を下ろすと、父は太い針を握り糸を咥え、端の部分を丁寧に手縫いしていく。 時折手を休め、床いっぱいに散乱したい草の上で煙草を吸う。古びたラジオからは毎日同じ番組が流れていた。 「コーヒーを飲みに行こうか。」 僕はその言葉をいつも待っていた。軽トラの助手席に飛び乗り、馴染みの喫茶店へ向か
〜Webサイトへの寄稿より抜粋 2016.1〜 2015年が三重県出身の映画監督・市川崑生誕100周年であったこと、そして私が2015年から三重県に特化したWEBマガジンの記者として記事を書き始めたこと、さらに2015年末のガキ使に年老いた石坂浩二が金田一耕助として登場してしまい愕然と悲しみの涙を流したこと、そして、2015年に尊敬する映画史時代劇研究家・春日太一さんの新刊「市川崑と犬神家の一族」が発売されたこと。 これは何かの暗示なのだ、という大きな勘違いを自覚しながら、
〜Webサイトへの寄稿より抜粋 2015.12〜 初めて投稿する記事が、老舗バー「エルザ」の片隅で塩豆を齧りながら映画のプロットについて語り合うようなマイノリティーにしか注目されない内容で良いのかはさておき(四日市のサブカル王コーイチさんの弟子として勇気を持って)、表題の件について少し書きたいと思います。 この映画に関するデータはこのご時世ネット上にいくらでも転がっているので割愛しますが、なぜ「WOOD JOB!」が多くの地方ロケ系作品が失敗を繰り返す中、(バジェットの差