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T・P・O

175cm85キロの僕は、5年前、35歳くらいから太りだした。妻に腹をつままれてお腹が出ていると毎日言われ、逆切れし、情けなくなり、筋トレを始めた。
知られたくないから、妻には内緒で朝3時半に起き、筋トレ施設に通う。
昔アメリカンフットボールをかじっていたので、筋トレには慣れている。
純粋に痩せたい、だったのが、筋肉が欲しいと思うようになった。
でも、やはりいるのだ。

筋肉隆々の男達が。

そして大体タンクトップよりさらに露出の高い服みたいなてらてらした「布切れ」を着ている。ベンチプレスあたりに君臨し、上半身を中心に鍛える。
男達の戦いは、人より重いダンベルをもっているかどうか。
鏡張りの壁には男達の視線が新しく現れた男のダンベルに注がれる。重いダンベルを持っている男が、つまり、強い。
タンクトップの布切れの男達は、注目し、されていることを意識しながらベンチプレスに挑戦する。自分との闘いといいつつ、見せあいなのかもしれない。

先日、朝早くいけなかったので夜にジムに行った。
そこには女子がいた。ようは若い女性だ。彼女は豊満な胸を持つ女性だった。
あろうことか、彼女はキャミソールみたいなてらてらして露出の高い服を着ていた。
それまでいろいろな器具に囲まれ、真剣に汗を流している、男たち目線が、彼女の登場でレーザーのように一点に集まった。
女子は器具に座り、あろうこと胸を鍛え始めた。すると器具によって豊かな胸は見えなくなった。
男達は、また真剣に筋トレをはじめた。

彼女が立った。
視線が交差した。
彼女が立った。
視線が交差した。

こんなことをざっと3セット行い。ふと思った。

際どいてらてらした布切れで来ないでくれ、気になるじゃないか。僕は純粋に筋肉に向き合っているんだ。

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