Kuniaki Ohno(大野邦明)

弁護士・社会福祉士/元保護観察官/関心事は社会課題/内容は全て私見、所属先とは無関係

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最近の記事

司法過疎地域における実践

居を移し、いわゆる司法過疎地域で仕事をすることとなった。 写真は所属法律事務所近くの風景である。自然が本当に豊かであり、魅了される。 司法過疎地域とは、明確な法律上の定義があるわけではないが、一般に、地域において、弁護士等の法律実務家の数が少ないため、地域住民が法律的なサービスを十分に受けにくい状況にある地域といえるだろう。 法律実務家の一部地域への集中又は過疎・偏在と呼ばれる社会現象ないし社会課題でもある。 デジタル化が国の施策として推進され、司法においてもオンライン化

    • 人間関係を捉え直してみる

      写真は、愛知県岡崎市の乙川沿いの桜。 まだ寒い日が続きますが、春はもうすぐですね。 最近、縁あって、こちらの本を読みましたので、今回は、書評(ちょっとした感想程度です)を記事にしました。 人が生きていく上では、家族、友人、学校、近所、職場など様々な場面で人間関係が生じます。 しかも、その関係性を、自分の力で解消することや軌道修正することが、社会生活上なかなか容易ではないといえると思います。 コミュニティが小さければ小さいほど、関係性は濃く、また重くなり得ます。 また、会社

      • 「家族法制の見直しに関する中間試案」に関する意見募集(2月18日0時まで)

        ※写真は初日の出です。 新年あけましておめでとうございます。 現在、政府において、「家族法制の見直しに関する中間試案」についての意見を募集しています。 いわゆるパブリック・コメントと呼ばれるもので、Web上で意見することができます。 中間試案では、様々な改正課題が取り上げられていますが、一例を挙げると次のとおりです(あえて平易な表現で以下記載していますので、ご注意ください。正確な論点把握は、上記リンク先の資料をご確認ください。) 1 離婚後の親権者の問題 父母双方を離

        • 「この年齢になっても、いくつになっても学んでいいんだ」憲法学者の図書館利用方法(木村草太教授)を視聴して

          ◆写真は、散策時に見つけた彼岸花。 神奈川県立図書館のイベント「憲法学者の図書館利用方法」(木村草太教授)に応募させていただいたところ、幸いにも抽選を通過し、昨日、Zoom視聴させていただきました。 かねてから木村草太先生の研究分野、説明のわかりやすさ・明瞭さ、話し方などがとても好きで、楽しみにしていたイベントのひとつ。 ご講演で印象的だった点は多数ありますが、特に以下の2点。 1点目です。 木村教授から、夫婦別氏違憲訴訟に関して、このような趣旨のお話がありました。

          対話の重要性

          久しぶりの記事となりました。 近時、国内外を問わず、いろいろな事件や出来事が起きています。 SNS、ICTの発達で、発信・発言する機会は無数にある昨今において、人と対話をすること、コミュニケーションを取るということの重要性を改めて感じています。 相手の言いたいことは何だろうか 相手の話を「聞く」姿勢は示せているか 自分の価値観で物事を捉えていないか 価値観の押し付けではないだろうか 人の話を途中で遮っていないか その表情で相手がどう感じるか その話し方で相手がどう受け止め

          「夫婦同氏を定める民法750条は『婚姻の自由』を侵害する」

          いわゆる「選択的夫婦別氏(別姓)」の問題です。 夫婦は、婚姻する際、夫又は妻の氏のどちらかの氏を称しなければならないとされている(民法750条)。 この規定により、法律上、正式に、婚姻前の氏を使用することができないことで、尊厳や人格を否定されてしまった人が、私の身近に存在する。 2021年6月23日、最高裁判所において、一部の裁判官から、民法750条及び戸籍法74条1項の規定は、婚姻の自由を制約するものであり、憲法24条1項(婚姻の自由)に違反するとの意見が付されました。

          「夫婦同氏を定める民法750条は『婚姻の自由』を侵害する」

          「表現の不自由展かんさい」訴訟

          大阪で「表現の不自由展かんさい」の開催を予定していたところ、開催1か月前頃から、その開催予定の会場にクレームや大音量の抗議が多数寄せられました。そのため、会場側は、このまま開催すると混乱や衝突が激化し、会場の管理に支障が生じるとして、「表現の不自由展かんさい」に会場を貸すことはできないと会場の利用を取り消しました。 そこで、「表現の不自由展かんさい」実行委員会が、会場を運営する大阪府を相手に「取消しは違法だ」などと主張して訴訟を提起しました。 これに対して、大阪地裁は、「管

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          「離婚後の共同親権」と東京地裁判決

          民法819条 1項 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。 2項 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。 と規定されています。 要するに、父母が離婚した場合、どちらかの親が親権者となる「単独親権」の制度を採用しています。 2021年2月17日、東京地方裁判所において、この819条2項の規定が、親権を行使することができる者と行使することができない者を生む点で、差別的取扱いを定めており、平等原則(憲法14条1

          「離婚後の共同親権」と東京地裁判決

          フリーランスの法的保護

          これまで転職や転勤をきっかけに、仕事環境の変化を何度か経験しました。 この経験も踏まえ、職場内の人間関係、心理的安全性の醸成や個人の尊重は最重要であると考えます。 また、「働き方」はもっと自由で多様であるべきと感じています(不合理な職場ルールは改善されるべき)。 今回は、「フリーランス」の話題です。 近時、多様な働き方の拡大により、フリーランスを保護するための施策が取られ始めています。 そのうちのひとつが、厚生労働省等が策定した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備

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          「季刊刑事弁護」創刊100号記念特別号

          ふとしたことを契機に、「季刊刑事弁護」創刊100号記念特別号をあらためて読み直しました。 本誌は、本号を含めて、毎号錚々たる執筆者による論文等が掲載されていますが、本号で特に印象的なのが「新旧編集委員座談会」と「若手弁護人座談会」。 「新旧編集委員座談会」では、研究者も交えて、黙秘権行使、公判の課題、刑事弁護の今後の展望等について、また、「若手弁護人座談会」では、より実務的な弁護活動について議論され、全て勉強になる話ばかりです。まさに刑事弁護のプロフェッショナル。 身体

          「季刊刑事弁護」創刊100号記念特別号

          これから

          弁護士の大野邦明です。 研鑽のため、社会課題、種々の論考、近時の判例、書籍等に関する意見などを発信していきたいと考えています。 ご意見、ご質問等は大歓迎です。 これからよろしくお願いします。