ヤカンと余白
ヤカンの中の湯を満タンにすることが少なくなった。
コーヒー屋なので、いつオーダーが入っても良いようにお湯は常に用意している。
2口コンロにヤカンが2個。
だいたい7、8分目までお湯があって、とろ火もしくは弱火にかけている。
性分といえばそれまでだが、万一というのは起こるものだというつもりで生きてきた。
石橋を叩いて叩いて、もう一度ぐらい叩いてみてから渡るタイプ。
そんなものだから、2個あるヤカンのお湯が常に満タンでないと気が済まなかった。
たくさんお湯があれば、火を切ったとしても冷めにくい。
ホットコーヒーのオーダーが続いてもお湯が無くなる心配もほぼない。
ただ、ヤカンが重いし、湯を注ぐときに溢しやすい。
ヤケドをした経験を思うと、満タン過ぎるのはかえって危険。
最近は暑いからホットのオーダーが少ない、ということも手伝って、敢えてヤカンの中のお湯は満タンにはしていない。
お湯が少ないと冷めやすいが、注ぐときに溢れにくい。
軽くて注ぎやすい。
お湯が減っても、少しだけ(適量)水を加えればまたすぐに沸く。
こうやって書いてみると当たり前だが、おもしろい。
今までの自分は常に緊急事態に備えているようで、最近の自分は臨機応変に動いているように見える。
ところで、夏に入ってから、「余白」や「ゆとり」と言った言葉が自分の中でキーワードになっている(ような気がする)。
余白やゆとりがあるというのは、ヤカンの話で言えば7、8割の湯量ぐらいのこと。
少し水を加えて加熱すればお湯はすぐに増える。
これが満タンのお湯であれば、お湯を捨てて「余白やゆとりを作る」ことになる。
今の自分に当てはまると思うのは、ゆとりを作っている点。
具体的には、身体への負担を減らし、長くお店を続けようとしている点。
捨てているのは…売上か。もとい、余白やゆとりのない仕事の仕方か。
いずれにせよ、常に満タンにしておくときも必要だろうが、普段は7、8割ぐらいが丁度いいと思う。
ヤカンも仕事も。
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