「ザ・スーパーガール」第13話「女ドラゴン 紅の必殺拳」序章:そもそも「ザ・スーパーガール」とは何か?
今回は、1979年~80年に東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放送されたドラマのあるエピソードを真剣に駄話するのですが、その前にこのドラマ「ザ・スーパーガール」自体について説明しておく必要があります。何せ40年以上前のドラマですので…。
「ザ・スーパーガール」は、東京12チャンネルで1969~76年までの7年間に及ぶ長丁場で放送を続けた「プレイガール」(69~74年、全287話)「プレイガールQ」(74~76年、全71話)の2部作が終了後、3年ぶりに復活した所謂"お色気アクションドラマ"です。
といっても、前作「プレイガール」2部作と物語のつながりがないのは勿論のこと、「プレイガール」がスタートした1960年代後半とは大分世相が変っていました。それは「女性」「お色気」「ファッション」にかんしても同様です。
歌手としても活躍し、後年国会議員にまで上り詰めた沢たまき(故人)をリーダーとした「プレイガール」は、旧い言い回しですが「はすっぱ」で男勝り、かつどこか夜の世界のムードを漂わせたメンバーが多く、ヒッピー・カルチャーやサイケデリックの余韻も残っていたことから、当時のモードを大胆に取り入れたへそ出しやシースルーといった肌見せファッションもバンバン登場しました。普段はやはり当時の流行だったミニスカートやミニ丈のワンピースが多用され、その恰好のまま男相手にアクションをするワケですから、結果として"パンチラ"になるというワケです。黒や白、あるいは原色といったはっきりした色合いの衣裳が多かったのも印象的でした。
対して「ザ・スーパーガール」は、「プレイガール」のモチーフともなったアクション・ドラマ「キイハンター」(68~73年)でアクティブかつセクシーなヒロインを演じ人気を博した野際陽子(故人)がリーダー。アウトロー色が強かった「プレイガール」と異なり、メンバーの大半が元警官という設定。衣裳も当時流行していた"ハマトラ"の影響を強く受けたスタイルとなって、エレガントでシックなキャリアウーマンの側面が強調されており、色もブラウンやグリーンなど眼に優しい淡い色が使われています。
ご存知のように"ハマトラ"ではスカート丈が長くなっているので、パンチラキックはかなり困難です。そのためレギュラーが見せるアクション自体お色気を強調するのではなく、スタイリッシュな殺陣となりました。では売りのお色気はどこへ行ったかというと、ゲストのヒロインたちが大胆なヌードや濡れ場を担うようになっており、実は「ザ・スーパーガール」の方がより過激なエロ方向へ走っているのです。何せパイロットとなる第1・2話の演出を担当したのが松竹出身で、テレ朝系「土曜ワイド劇場」の看板シリーズともなった天知茂が名探偵・明智小五郎役で主演のエログロ満載「美女シリーズ」を手掛けた井上梅次監督ですから、まぁ納得というものです。そしてアニメーションを取入れたOPタイトルなど、80年代的なキッチュでファンシーな側面も取り入れられています。
そんななかで次回以降取り上げる第13話、一体どんな内容なのかは、次回の講釈にて。
参照:
日本語社会 のぞきキャラくり 補遺第75回 『はすっぱ』について
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/column/chara-hoi-75
【イラストで解説】「80年代ファッション」とは。ハマトラ、カラス族、オリーブ少女
https://woman.mynavi.jp/article/190227-7/