大喜利について考える 7.『ボケてカードゲーム』と大喜利のハードル問題


とある方からこんな事を聞いた。

「boketeのカードゲームは大喜利系のボードゲームでは

 最高の難易度ですよ!」

説明すると、上記の件は先日発売された画像大喜利サイト

『bokete(ボケて)』プロデュースのカードゲームに

関する話題である。

ルールはというと、まず画像の描かれたお題カードが10枚公開される。

そして、「すぎて」「ここ」などのフレーズが書かれたボケカードが

1枚公開される。

プレイヤーはその画像カードのうち1枚にボケカードのフレーズを

織り込んだ面白い一言を加え、プレイヤー同士で採点を行い、

最も得点の高いプレイヤーがボケカードを1枚獲得、3枚獲得した

プレイヤーが勝利する、というものである。


前述の発言はボードゲームをよくプレイされるが、大喜利の経験は

あまり無い方によるものなのだが、では何が難しかったのか?


そもそも、”画像で一言”という形式自体は大喜利のお題として

ハードルが高い部類に入る。

”画像で一言”の答え方としては、まず画像から自分なりに

回答につながる要素を抽出する事になる。

例えば動物の写真だったら、写っている動物の表情、構図、背景から

その動物の感情を想像し、それに似たシチュエーションに

置き換えたり、いかにも言いそうな一言を作り出す。

回答のために抽出する要素が明確な文章のお題と違って、画像のお題は

まず要素を抽出する段階で相当な想像力を要する事になる。

ここにボケカードという縛りが付加されるのだが、

大喜利の経験が無い人にとっては、回答を想像する事に加えて

文章に縛りが加えられると、更に回答しづらくなるという傾向が

あるらしい。

実際のところ、縛りを加える事で回答を導きやすくなる

(方向性を決めやすくなる)のは確かなのだが、そのための文章を

構築するという作業が難易度を高めている事は否めない。


話はそれるが、大喜利の経験が少ない人が答えやすいお題とは何か?

例題を挙げて考えてみよう。


例題1.やなせたかし先生がボツにしたアンパンマンのキャラクターは何?


例題2.アホアホ高校の修学旅行、行先はどこ?


例題1の場合、“食品+マン”というテンプレートが存在するので、

前半の物と後半の敬称(“さん”“坊や”などに置き換えても可)

の組み合わせで回答を想像すれば答えは浮かびやすい。


例題2の場合だと、回答は“修学旅行で行かないような場所”なので、

大抵の観光地以外が当てはまる事になる。その上で、沢山の学生が

いたら面白い場所を想像する事で回答は導かれる。

また、両方に共通するのは単語での回答が可能という点である。


これらのお題のように、お題から回答の形式を導きやすく、

文章を作らずとも回答の構築が可能なお題は、大喜利の経験が

少ない人にも答えやすい。かつ、答えた後に周囲からのツッコミを

入れやすいかどうか(すなわち、他者に伝わりやすいかどうか)は

大喜利の回答において必要な要素のひとつでもあるので、アンパンマンや

修学旅行といった誰もが共有している知識をベースとしていると

より答えやすくなるだろう。


閑話休題。では、ボケてカードゲームの難易度を下げるにはどうするか?

ボケての場合、まず文章を構築しなくてはならない。

そして、ボケカードが公開されているため、回答のパターンが

先に判明してしまっている。それを裏切る事によっても笑いに

つなげられるのだが、やはり初心者にはハードルが高い。

ひとつの案としては、ボケカードとは別に手札として回答の補助となる

カードを作ってみるのはどうだろう。

カードにはシンプルな単語なりシチュエーションなりが書かれており、

他のプレイヤーには非公開の手札として数枚所持しておく。

そして、補助カードの使用は任意という形にすれば

回答を思いついた場合に縛りにはならない。

あくまでコンポーネントの中で解消を図るとするならば、

ボケカードを手札として3~5枚持ち、ボケの範囲を広げる形が

妥当かもしれない。


いずれにしても、大喜利はシンプルであればあるほど

ハードルが高くなるので、なるべく想像を生みやすく

サポートする形式が望ましいだろう。

ここまで「『ボケてカードゲーム』は難しい」という事から

思考を進めてみたが、実際にプレイした感想としては、

“画像+ワード”という困難な中から意外な回答が生み出され

幾つもの大きな笑いが起こるゲームであり、大喜利のツールとしても

携帯性の良さなどにおいて優れている逸品である。

気の合う仲間と気軽に大喜利で盛り上がりたい方は

ぜひ一度プレイしていただきたい。


・追記

個人的には月刊ムー公認の『オカルトかるた』と組み合わせると

更に面白くなるんじゃないかと思います。

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