『アイ・アム・ア・コメディアン』とちょっとした思い出
閉館が決まったシネマート心斎橋で『アイ・アム・ア・コメディアン』を鑑賞。
ウーマンラッシュアワーとして売れ、現在はアメリカでコメディーに挑む村本大輔さんの、2019年からの3年間に起こった事と、村本さんのむき出しな心の動きが詰まっている強烈なドキュメンタリー。
ネタを作り続けメモを片手に自主練をする真摯な面、各地でティーチインをしたり現地で目にしたものをネタに取り込む精力的な面、そして繊細な面が目まぐるしく入れ替わる村本さんの有りのままの心模様。未来への展望と不安に苛まれる感じ、両親や故郷への思いは同い年としてグッと掴まれる。
パンフレットにある中川パラダイスさんの人物評を読むと、村本さんの実に人間臭い核の部分が証言されており、本編のリード線としても素晴らしい文章。
そして、アメリカ的なお笑いについて。
(個人的意見として)差別や権力に抗うための武器というアメリカの常識を有り難がる一部の層には辟易するが、そこを下地としてセンスや人間味で見せる話芸をするコメディアンは尊敬できる。
村本さんの話芸にはアメリカの真似事だけではなく日本的な情緒も含まれている。そこに外連味が感じられるからこそ、日本にも支持する人が多いのかもしれない。
(ここからはただの思い出)
その昔、ワッハ上方6Fのロビーで当時の仕事仲間である島野さんとあるコンビでの打ち合わせに同席した時、既にbaseよしもとのメンバーだった村本さんが何やら近況めいた話をしていて、その1時間後に『エピソードマン』という村本さん主催のトークライブに行ったら、そこで話していた近況を話していて、「あれ、僕らでエピソードトーク試してたんや」と後になって気づいた、という出来事を思い出した。
アメリカの小さなライブハウスに出演する事に対して、「自分もそこを通ってきたから、またやるだけですよ」と語っていた村本さんの脳裏には、あの頃のワッハ上方の光景がよぎっていたのかもしれない。
またいつか何かの機会でお仕事出来れば良いな、と思います。勿論、あちらは覚えちゃいないだろうけど。
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