絶対的なサウンドとは何か。

立体音響が流行る中。VRでも立体がしきりに叫ばれる日々になりました。
立体音響というのは一体何なのか。これについて少し考えていきたいと思います。目指すべき音の方向性を考えていきましょう。


ゲーム空間における立体音響

立体音響の目指すところは常にリアルにあると思います。私たちが日々研究するテーマについても音響の正義は忠実なリアルサウンドの再現にあります。それは経験に近い環境を再現するためです。しかし楽しませるサウンドというのは矛盾が発生します。楽しむのに実音場を模擬する必要があるのでしょうか?というテーマについて考えていきましょう。

ゲーム音響の求めるもの

ゲーム音響で立体という言葉が使われ始めたのはFPSが走りだろうと思う。今みたいに細かな定位が重要なのではなく、”前後左右”の情報さえ得られれば良かった。しかし、それがどんどんと上下情報が加わったりしながら変遷していき、いつの間にかリアルサウンドを求めるような風潮になったように考えている。これに加えてHi-Resが流行を始めた。Hi-Resとは44.1kHz16bitを超える音声フォーマット全体を指す。はて、どの辺まで聴くことができるのか。私はマーケティングやブランディングの一つであってその音を再生できるのかどうかは別の話だと感じているし、それが聴けるのかどうかは謎でその違いがわかるひとがどれくらいいるのか懐疑的でいる。論争でもある通り録音環境では96kHz24Bitでサンプリングを行うのが標準なのだけれど、これは編集する際に再サンプリングする際に発生するノイズを軽減するためにあって、いい音を追求するものとは全然別の考え方なのである。聴いてみてもほぼわからない。わからん。

立体音響の行く先

現在ではVR空間上に様々な空間が構成される。どこからなんの音が聞こえるのかは重要で、ただこれがFPSのような敵がどこにいるかではなくて、どこから何が聞こえるのかが非常に重要になってくる。ライブイベントにおいてはワールド作者の技量が求められている。ワールド音響の目指す”べき”方向性はまだ定まっていない。

VR空間における立体音響

ここではVR空間での空間オーディオの可能性を考えてみようかと思う。おおむね3つ程度に分類される。

・現実系
・非現実系
・ASMR

現状確認できているのはこの辺。異論は認めますのでどしどし意見をください。少しまとめていきましょう。

現実系

さてまずは正攻法について検討していきましょう。とはいえ他のが正攻法でないという風には言えませんが。現実系はとにかく現実にあったらこんな音場ではないかなというのを想像しながら作っていきます。私の活動領域もここになります。ここは私の活動が一番わかりやすいので説明をしていきます。ワールドでの理想の音響を考えるうえで物理指標を使って検討を行います。私は定位には特定の周波数の音を用いて、フラッターエコーや周波数特性を測定していきます。これは全部理想形にする必要性はありません。あくまで想像した世界を作っていきます。スピーカーの位置を出す際にはアセットのスピーカーから定位が出るように調整していきます。極力私はイコライザを使いません。これは解像度や分解能を最大限出すためです。イコライザをかけすぎてしまうと、現状音が破綻して劣化を起こしてしまうようです。もちろんさじ加減だと思いますが。

非現実系

VR空間の特性を生かして、超立体音響を作り出していきます。様々な計算をかけるので負荷多めです。メリットとしてはリアルでは得られない体験を得ることができるので様々な音響を試すことができます。例えばハイレゾサウンドにPANを振ったり位相をずらすことでいろいろな場所に定位させることができます。また、ワールドのギミックとして様々なことを提供できるのでこれからこの分野は広がっていくのだろうと思います。音の知識というよりかは自分の感性を信じて作ることが重要なのでセンスが問われるといってもいいでしょう。

ASMR系

今皆さんが取り組んでいるのがASMR系ではないでしょうか。コンテンツとして提供しやすいし、VRとの相性がいいです。現実系を狭くしてとにかく解像度を上げた。といえばいいでしょうか。特徴は超解像度の音場の提供でしょうか。疑似しているのですが高周波が定位に有効なことから高域と低域をうまく使ってゾクゾクするコンテンツを提供します。位相を的確に制御する必要があるので、コンテンツの作成難易度は比較的高いのですがそれを補う様に専用のマイクが出ているので機材さえ揃えて仕舞えばある程度音の知識がなくても作れるのでコンテンツ系で勝負するならこの分野なんではないかと思う。

新たな可能性

VR音響を考える上で今後必要となってくるのはいかに常識を越えられるのかだろうと思う。現実では絶対体験できない音を作ることができるのだから、どの様なサウンドを作りたいのか、提供したいのか。考えれば考えるほど出てくるのだから試してみたら良いのではないだろうか。価値創造は人それぞれだからコンテンツは無限に考えられる。例えばASMR系を派生させることでコンテンツは広げることができるのではないだろうか。(私が考えている一つはこれ)
このほかにもライブイベントで仕掛けているクリエイターの方もたくさんおられるのでイベントに行ってみるのも一つかもしれない。DJの方は工夫していて音で聞くだけではなく目でもギミックを仕掛けているのだから視野に拡大すればさらにできる分野は広がっていくことになる。
ないない。そう思っていることを実際に作ってみればもしかしたら流行るかもしれないのでまずは考えてみることからはじめてはどうだろうか。

ここでおしまい

さて、サウンドに関して少し考えていきました。みなさんはどんな音響をめざしますか?軸をきめて活動をしていくといいモノが出来上がると思います。
なかなか有料記事を書くことができないので、問い合わせいただければ諸問題について音響的なアドバイスはできるかと思います。みなさまにとっていいサウンドを。


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