夜中に目覚めて
雨の音を聞いた
いつも思う
この降りしきる透明の中に
沈んでしまったら…と
否
本当に溺れた人の身になってみろ
生易しい感傷のいかに無責任なことか
そんな声が
どこかから聞こえた気がした
この雨が
誰かの肩を冷たく冷やし凍えさせ
あるいは
渇き餓えた人の喉をかくも優しく潤わせ
絶えた最後のため息を
救ってあげることはもうできなくて
自分は泣くことしか出来ないのだと知った
誰の上にも等しく降る
この雨の透明は優しさなのか残酷なのか
答えのない問いを
ぐるぐると回り続ける
黒く透き通る雨音を
聴きながら
もう一度目を閉じて
せめて全ての人に
優しさが降り注ぎますように
願うことにしよう
まるで幼い子供みたいに