地方スタートアップ支援について思うこと(いろいろあるよね!)
書くと色々言われちゃうんで正直腰が重かったんですが、ちょっとこれ共有することでいい方向に行くんじゃない?ということ思いついたので書き始めました。
ということで
かんたんな自己紹介
どうもはじめまして。やまだくにあきです。
どんな人間がこの「地方スタートアップ支援について」を書いてるのかをはっきりさせておいた方がいいかなっと思い、網羅的に自己紹介を。
瀬戸内VCについて
瀬戸内VCは、「瀬戸内エリアにしか投資しない」という制約と誓約を背負ったVCで、今このエリアの唯一の独立系VCになります。
僕たちはそれぞれ別に事業を持ちながら兼業でVCをやっています。だからこそこの規模感でも運営できています。
それでもこのエリアに独立系のVCがあることが、僕らのできる中で最もレバレッジの効くスタートアップ向けアクションだなと思って立ち上げました。
想いとかの部分はこの辺りを読んでもらえると助かります。
セトフラについて
そうこうするうちに「スタートアップ」という単語に興味を持ってない人に「スタートアップ」を届けることが、結果としてスタートアップ支援につながるなっと映像メディア「Setouchi Startup Flag」(通称セトフラ)を始めました。
ももスタの運営について
さらに、一度は外れた岡山市の運営するスタートアップ支援拠点「MOMOTARO STARTUO CAFE」の運営に舞い戻りました。
各地域のイベントについて
そんなことをしていると、全国の地域から登壇のお誘いが。
色々回りました。
つまり何が言いたいかというと…
東京以外の46都道府県のうち、瀬戸内エリア、その中でも岡山については最も「地方スタートアップ」の情報が集まる立場にいる人間がこれを書いているんだよってことです。すごいことやってるとか、意義深いとかは人によってさまざまな評価があると思うんですが、これだけやってると好む好まざるを置いといて、最も情報が集まります。
でで、一地方で最も情報が集まる人になり、かつそれを前提に全国の地域を回るとさらに情報が集まり、相対化され、意見が形成されるわけです。僕も人間なんでバイアスは確実にあるんですが、それでもなお共有すべき情報を一番たくさん持ってるような気がします。
と、いうことで、一地方のディープな話から、全国各地のトレンドまで、最も詳しい人がこれを書いているという前提でこの後読んでもらえると大変助かります。そして言い訳多くて恐縮なんですが、これがすごいとかすごくないとかいったん置いておいてほしくて、今これを読んでくださってる人は僕のことなんて知らないと思うので、立ち位置だけはっきりさせたいという趣旨です。怒らないで。
(そしてすでに僕よりも情報持ってる人が何人か思い浮かんでしまったんですが、noteをこれだけ書いてる人って掛け算で一番ってことにしといてくださいませ...)
地域のスタートアップ支援のストーリー
前置き超長くなってしまったんですが、こっから本編。
地域でどうやってスタートアップ支援が生まれてるかというとまず大体①スタートアップに魅せられた人が自発的にイベントとかを開催し、②ちょっとしたうねりが生まれスタートアップが顕在化し、③政府の方向性もあり自治体が予算化する、みたいな感じです。
いきなり③からやるところもあるんですが、だいたい3年で終わります。誰も熱量ないと続かないですね。
あ、注意して欲しいのはこれは「スタートアップ支援」の生まれ方です。「スタートアップ」そのものは、見えないところで生まれてたりします。流石に仲間がいなすぎて東京に行く人がほとんどですが(そしてそれは全然よきこと)、さまざまな事由でその地にとどまることを決めた人が虎視眈々と飛躍の時を狙ってます。(めちゃかっこいいと思う)
いったんまとめとくと
で、その次がポイントなんですが、④今まで手弁当でやってたことに予算がつくが体制がなく、東京のスタートアップ支援事業者が行政案件を獲得する、が起こります。これ別にビジネスの話なので東京の事業者何も悪くないんですよ。シンプルな市場原理というか競争原理で最初に「スタートアップに魅せられた人」が負けただけというか。僕らもそうでしたし。とても健全。来てくれてありがとう的な話。想いある人も多いし。
でもですね、やっぱり超絶非効率なわけですよ。リアルに書くと、東京等のスタートアップ支援事業者が採択され、今まで手弁当でやってたことにそれ相応の予算(数千万円が多いですかね)が付き、さらにその採択事業者からイベント集客を頼まれたりする。ナンダコレハ??となります。
今まで自分たちの関係性や信頼で一生懸命頼んでイベントに来てもらってた人たちが、運営主体が変わってるのに気が付かず「あいつらだから行ってやろうか」的に来てくれてるのに、そのイベント自体僕たちは知らなくて「あれ?いないの?なんで?」って信頼下がるのワケガワカラナイ。
さらにさらに登壇者の交通費に使われるならまだしも、運営者の交通費にその予算の多くの部分が使われるのイッタイナンナンダロウ?とは思うわけです。
ちなみにこれも採択事業者何も悪くないですからね?
そういう構造なだけです。ただ、当初からそこに関わってきてた身からするとそう思うし、彼ら彼女らがどれだけ一生懸命やってるかとか、人格的に素晴らしいかってのとは別のところで生まれちゃう構造的欠陥なんすよこれ。
例えるなら親同士が不倫してた時に、どれだけあいつがいいやつでも、仲良くなるのは難しいみたいなやつです。「水は海に向かって流れる」読んでください。学びが深い良い漫画です。
ここいらでもっかいまとめとくと
でで、さらに⑥元々いた地域の人たちの不満をぶつけられる採択企業のメンバーの人たち。そんな状況だと考えずに一仕事としてきてる彼女らは純粋な気持ちで接してるのになぜか冷たく扱われるというわけわからない状態に陥ります。こういう時人は病むのでここは早急にどうにかしたい。
その後、⑦どっちかの不満が爆発し、対立が激化、相互に協力関係が完全に消え、スタートアップ支援終了、です。
ここまでがワンセンテンス。
どうですか?地域のプレイヤーや支援者のみなさん、大体こんな感じじゃないですか?
だーれも幸せになってない!!!
やめようやめようこんなの!!!
と、後ろ向きな話がしたいわけではなくこっからはこの不幸を避けるためのソリューションのご提案。
じゃあどうすればいいの?
ここまで読んでくださった人がいるなら自明だと思うんですが、この不幸に真っ直ぐつっぱしってる「地方スタートアップ支援のストーリー」どこが分岐点だと思いますか?
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そう!
です。これくどいくらい何度も言ってるんですが、この採択企業は何も悪くないんですよ?純粋にそこにチャンスがあって、競争に勝っただけ。ここへの批判みたいなのが生まれるだけの環境を変えたいという気持ちもあります。
その上で、変えられるとしたらここだけでしょ!
シンプルです、勝ちましょう。
ここを変えられたら、⑤今までお金がなくてできなかったより本質的な施策を行う、⑥他の地域と連携して支援メニューの標準化とローカルカスタマイズの実現、⑦全国各地からスタートアップが大量に生まれ飛躍する、みたいなことができます。
みてよこのハッピーな未来。
やりません?
なぜそれができてないの?
上記だと「体制」って言葉にしましたが、厳密にいうとビジネスの総合力的なものが弱いから負けちゃうんだと思います。行政が予算化する時にしっかりとあたかも自分たちと随意契約するかのようなプロポーザルの仕様書を一緒に作ること、それが実現できる体制があるとプレゼン資料を作ること、他社の資料に地元有力者が入らないように事前に挨拶すること、とかとか、そういう何かを獲得するために必要なアクションを、上記未来を信じるならやり切ればいいんだと思います。これはアンフェアとかじゃなくて、自分たちのつくる未来の方がいいと信じてるならやればいいのかなと。
もちろんこのことは、行政サイドにちゃんとそこの話を聞いてくれ、意図を読み取ってくれる人が必要だし、自分一人でやってたようなところからチームとして体制を整えることも必要だと思います。
だけど初期手弁当でやってたような人たちは、そこやりきれるし、そこに仲間もいると思うんですよね。
「老害になるのが、、、」
って怖がらず、仮に誰かから老害だって言われたとしてもその未来信じるならやればいいじゃないですか。やりましょうよ。多分そっちの方がいいですよ。
もちろんこの話は、僕が今まで会ってきたようなスタートアップが好きで、地域が好きで人たちを前提に書いてます。だから彼ら彼女らが苦しい思いをしてるのもめちゃ知ってます。なんとかいしたい。
でも一方でそうじゃない、わかりやすく地域を食い物にしている人もいっぱいいます。地方創生おじさんたち。この人たちが上記と同じ文脈でスタートアップ支援語るのは中々にイラつくものがあったりします。「人間なんだな自分は」ってよく思います。
また地方で起業したいって若者なんて生まれた日には、もう変な人たちが大量によってきます。どうにかしたいーーーー!!!
この辺りの人たちを前提に「地方のスタートアップは終わってる」みたいに言われるのは、そんな中でも歯を食いしばって頑張ってる人たちが報われなさすぎる。シンプルに僕は悔しい。超くやしい。いやだーーー。
具体的なアクション
ということで、こっから具体的にどのように行動していけばいいかをざくっと。
まずは、①スタートアップ支援に関わる行政の部署の方(だいたい、産業課系?)と対話することです。ここは今までスタートアップのイベントとかやってる際に実際に来てくれてた行政の方がいるならその人に聞くのが一番いいです。繋いでもらいましょう。いないなら直接行くしかないですね。
次に、②この地域においてこのスタートアップ支援が最も良いということを伝えて、それがどこかの予算にハマらないかを考えてもらいます。ここは行政の人に頼るところになっちゃうんですが、今まだ手弁当でやってきた実績があるなら形にしてくれる可能性は極めて高いです。行政の人も鬼じゃないので。すでにやってるところがあるならそれとのスイッチングも含めて考えていきましょう。
で、実際に仕様に落ちたら、③実行できるチームを作ります。行政の人の「お忙しいと思って」というのは、「お前のところ書類仕事系できないだろ」の隠語だと思ってるので、そこは120%で応えられる体制を作りましょう。本質じゃないとか言わず、いまはこれこそがクリティカルポイントだと考えてしっかりと。
で、最後に④プロポーザルに応募です。仕様書から100点取れるプロポーザル資料を作成します。基本的には、事前質問→書類提出→プレゼンという順番なので、その準備をします。大体において凝ったデザインは必要ないんですが、仕様に対して全てしっかり答えておく必要があります。行政実績とかが基本弱くなっちゃうんですが、そこは事前に行政の方とお話しして、いかに今までこの地域のスタートアップ支援してきて、この流れを作ってきたかということを盛り込めるようにしましょう。また、別地域の実績あるところと組む等のオプションもあるかと思います。
まとめると
ですね。
僕たちが実際にももスタに採択された時の提案資料とか欲しい人いたらコメントで教えてください。シェアの仕組み考えます。
しっかりやれば誰でも獲得できるはずです。獲得しましょう。上記の分岐点で未来の自分たちが喜ぶだろう選択をしましょう。
おわりに
全国の地域を回ると決まって
「今まで自分たちだけでやってた時は熱量もあって、意義あることができていた。だけど行政がお金をつけて、東京のコンサルが入ってきて以降はもうだめだ」
的な話をよく聞きます。すごく気持ちわかります。さらに入ってきた東京の方々に悪意がないのが辛いんですよね。嫌っちゃいけないのに嫌ってしまう。苦しっ。だったらもうそこを根本から変えましょうよ。しかも正規のルートで。誰も傷つかない方法で。シンプルですよ、プロポーザル勝てばいいんだから。やりましょ。一緒にできることはお手伝いさせてください。
みんなでやってきましょう。
たぶん、変えられるよ。
--よく読まれてるnoteたち--