つぎはコレ読みたい! 2024/09
先月、かなり久しぶりに読書会に参加しました。日ごろから読書メーターで読んだ本の記録とちょこっと感想を書いたりはしてるけど、他の人の感想にナイスすることはあってもコメントをつけたりして交流するまでにはならないことがほとんどです。なので、同じ本の感想とかそこからの連想とかについて人と話すことの面白さを再確認してきました。はじめましての人がいる読書会だとなんとなく遠慮してしまうというか、自分がしゃべるより人の話を聞きたいモードになってしまうのだけど、同門の先輩訳者のみなさんとご一緒だとつい甘えてしゃべりすぎちゃう傾向があるかも。
さて、ではコージーミステリから。
『A Killer Clue』 by Victoria Gilbert
シリーズ:Hunter and Clewe #2
カテゴリ:コージーミステリ
大学図書館の司書を引退したジェーン・ハンターは専門知識を活かしつつ少ない年金をおぎなう収入を得るため、若き稀覯本収集家キャメロン(キャム)・クルーのコレクションのアーカイブを作成するという仕事についた。
古書店オーナーのエロイーズが彼らのもとを訪ねてきたとき、ふたりはてっきり本に関する調査を頼まれるのだと思った。だがエロイーズが依頼したのは、母親にかけられた殺人の容疑を晴らしてほしいというものだった。母は夫を殺したとして長いあいだ服役していたが、出所して間もなく亡くなった。遺産を整理していて新たな証拠となりうる情報を見つけたエロイーズは、すでに時効を過ぎているとはいえ真犯人を探し出すことを決意した。
ジェーンが当時捜査に当たった刑事をつきとめたが、彼はエロイーズの古書店で刺殺されてしまう。ジェーンとキャムはふたつの事件は同一犯人によるものだと確信するが、警察はあろうことかジェーンを容疑者とみなした。
自身も元図書館司書だった著者は、このほかにも図書館や本好きが集まるB&Bを舞台にしたシリーズがあるベテラン。本シリーズで面白そうなのは、まだまだ元気なおばあちゃんと(おそらく)相続した資産で暮らしているらしいちょっと変わり者の青年とのコンビ探偵だというところ。雇い主はキャムのほうなのにジェーンがぐいぐい引っ張る予感しかしないw。
その他には〈木曜殺人クラブ〉のリチャード・オスマンの新シリーズ『We Solve Murders』も。こちらは引退した(はずの?)捜査官スティーヴとその義理の娘で警備会社に勤めるエイミーのコンビだとか。
続いてスリラーミステリ。
『Their Little Lies』 by Quinn Avery
シリーズ:non
カテゴリ:スリラー
複雑怪奇な殺人事件の解決をしくじったジョゼフィン・ケリー刑事は故郷に帰って病床にある父親の世話をすることにした。ところが到着早々から、ここで幸せに過ごしていたと思っていた子供時代がじつは想像を絶する暴力にまみれていて、しかも誰かがそれをなかったことにしようとしているようなのだ。
懐かしい人の顔を見て、古い記憶をたどるうち、少女の目に見えていたのとはちがう背景が浮かび上がってくる。いまの彼女をかたちづくったのが殺人や暴力だったことは理解に苦しむが、ジョゼフィンはかつて思いを寄せていた男性にすべてを打ち明け、信頼していた人たちが埋もれさせた秘密をともに掘り起こしていく。
子供のころの記憶なんて年をとるほど美化されたりすっかり忘れたりするものだけど、なんらかの事情があって当時身の回りにいた大人たちに意図的に見ないようにされてたとかミスリードされてたとかを大人になって知る、ってなかなかの衝撃には違いない。アイデンティティの崩壊にもつながりかねない事情でも、知らないよりは知ったほうがいいのか、知らないままのほうが幸せなのか。
ほかには〈フロリダ・シニア探偵クラブ〉の続編も待ちどおしいステフ・ブロードリブと『どっちが殺す?』のM・J・アーリッジの共著『The Reunion』も気になります。またオットー・ペンズラーが編纂する短編の年間ベストを集めた〈Best Mystery Stories〉、今年はアンソニー・ホロヴィッツがゲストエディターに加わり、序文を寄せているのも注目。
最後にSFを。
『Failsafe』 by Jeff Sylvester
シリーズ:non
カテゴリ:SF
世界はコードにしたがって動いているが、すべてのコードが安全とは限らない。おかげでアナ・フリンの仕事がとぎれることもない。
物質改変装置(マター・マニピュレーション・デバイス、MMD)の登場で、物質的な意味で世界は激変した。まさに夢が現実になったのだ。だがすべての夢がバラ色なわけではない。街には改造されたMMDがあふれ、不法かつ危険な改変がなされている。
ベテランのMMD取締官として、アナはこの装置の不正な使用や売買と日々闘っているのだが、あるとき世界でもっとも尊敬を集める政治的リーダーの暗殺計画に割りこんでしまい、それで上司をかんかんに怒らせてしまった。やがて彼女は自分が当局の捜査対象になっていることに気づく。しだいに孤立させられ、誰を信用できるのかわからなくなっていくなかで、最悪の物質改変テクノロジーを解き放ってしまいかねない陰謀を暴こうとする。
物理法則をいじるとなるとSFというよりファンタジーな気もするけど、画期的なテクノロジーが登場すればそれを悪用して世界征服を目論むヤカラがでてくるのは世の常。たったひとりで巨悪に立ち向かう構図は映画的かも。
先月の読書会のあと、ちょっと足を延ばして都庁まで行き、例の“プロジェクションマッピング”を見てきました。正直、これで東京のイメージアップとか集客につながるとは思えなかった😞 賛否あるようだけど、私には無駄遣いに見えちゃったな・・・