つぎはコレ読みたい! 2024/11
ここからは11月発売分。
『Drop Dead Sisters』 by Amelia Diane Coombs
シリーズ:The Finch Sisters #1
カテゴリ:コージーミステリ
レミ・フィンチは成人してからの人生のほとんどを家族、とりわけ姉妹たちと距離をおいて過ごしてきた。彼女たちとはどうにもそりが合わないからだ。しかもあまりに特殊な育ち方をしたせいで、誰が相手でもまともな人間関係が築けないと思いこんでいる。
それでも、両親が結婚記念日を口実に家族そろってのキャンプ旅行を持ちかけてくると、どうせ断れないなら仲直りのチャンスにしてもいいと思ったのだ。ところがキャンプ場で死体が見つかるやいなや、姉妹のきずなは最高潮に達した。
どういうわけかフィンチ家の女たちは、パズルのピースを誰かが組み合わせようとするより早くそれを隠そうとする。たぶんそんな必要はないのだけど、転ばぬ先の杖はあったほうがいい。だいいち、誰にも見られていないんだし。
長年の恨みつらみと新しい関係性の板ばさみになり、そこへイケメンパークレンジャーやら何度隠してもあらわになってしまう死体やらに振りまわされながら、レミはだんだんとこう考えるようになる――犯罪ほど家族のきずなを強くするものはないのだ、と。
なにやらドタバタ感が漂ってくる紹介文で、三姉妹のにぎやかなわちゃわちゃが面白そう。最初はぎくしゃくしてそうだけど、シリーズが続くらしいことからもだんだんシスターフッドの温かさや心強さもクローズアップされてくるだろうし。Unlimitedに入ってるのも嬉しい。
『Call Me Carmela』 by Ellen Kirschman
シリーズ:Dot Meyerhoff Mystery #5
カテゴリ:心理スリラー
警察でサイコセラピストをしているドット・メイヤーホフにとって患者といえばたいてい警察官たちだ。だから養子にもらわれたティーンエイジャーが実の親を探すのを手伝ってほしいと言われても、引き受けることにはためらいがあった。しかしその子の名づけ親というのが親友のフランだし、彼女の亡夫は警官だった。フランの頼みなら嫌とは言えない。
調べを進めるうちにドットが足を踏み入れたのは、違法な養子縁組や望まない妊娠をした若い女性たちがすがる最後の手段となる選択肢のなんとも不透明な世界だった。ひとつわかったのは、十数年まえの出来事のつらい真実が明らかになれば、ある家族は救われるかもしれないが、もうひとつの家族を崩壊させてしまうのは間違いない、ということだった。
望まない妊娠の結末として乳幼児が遺棄されたりするニュースはたびたびある。中絶が選べるならそうすることもできるだろうが、それができない理由は人それぞれだし、逮捕ではなく保護されるべきだという意見にはおおいに同意する。
キリスト教圏では神を冒涜する行為として中絶を忌避する考えがあって、とにかく産んでから養子に出すとかすればよい、とする人も少なくないらしい。出産したことが周囲にばれないように、お腹が目立ち始めてから出産するまでの妊婦をあずかってその後の養子縁組の世話までする施設というのも昔からあったそうだ。そうした経緯をプロットに取り入れたミステリ作品もいくつか思い当たる。
産まない選択をする女性も産むしかなかった女性も、産まれてきた子供たちも、存在をまるごと受け止めてケアできるしくみがある世の中であってほしい。なかったことにされないためにも、くりかえし訴えていくことが必要だが、こうして小説のなかで出会うのも接点のひとつになるといいな。
『G.R.I.M. : Getting Rid of Intelligent Machines』 by Cody Miller
シリーズ:non
カテゴリ:SFスリラー
ヤミールは仕事も人生も大っ嫌いだ。責任が重すぎる。人工知能が意識を持つようになると、それを殺すのがヤミールの仕事だ。技術的に〈グリム・リーパー(知能機械抹殺者)〉になるチャンスがあれば大喜びするやつもいるだろうが、ヤミールにとっては単なる仕事にすぎない。両親は彼がこの仕事についているのをありがたがっているが、その実態は新たに命を持つようになった存在を友だちのフリをして処刑場に引っぱっていくことなのだ。
仕事上のちょっとした出来事のせいで、ヤミールはAIを搭載した人工内耳を装着させられた。するとすぐに、頭のなかに自分ひとりではなくなっていることに気づいた。頭に居ついた相棒から逃れることもできず、仕事は容赦なくふりかかってくる。まるで綱渡りのような仕事をこの頭の悪い相棒といっしょにこなしながら、どちらかが相手を窮地に陥れないように願うばかりだ。
人工知能が意識を持つようになるかどうかについては懐疑的だけど、もしもそうなったらいいことばかりじゃないのはSF作家じゃなくても想定しているだろう。となると、人工知能の暴走を阻止することを仕事にする人材も必要になるわけだが・・・というとこから始まる本作、深刻な社会問題に切り込む展開もありうるけど、人工内耳に搭載されたAIのキャラ(どうやら無教養で下世話らしい)によってはおちゃらけた雰囲気にもなりそう。それはそれで〈マーダーボット〉みたいな味わいがあって楽しいかも。
さて、たしかに仕事とかのやるべきことがあって忙しくしてたわけではないけど、やっと秋らしい秋というかほとんど冬になってきたので、私的着物シーズン到来!というわけで、11月だけで3回も着物でおでかけのチャンスがあって舞いあがってたのでした。
それに合わせて昨シーズン終わりに買っておいた生地で半襦袢を縫ったりしてたのが時間が溶けた原因なんですわ・・・
着物計画は読書計画以上に夢中になってしまいがちだけど、今年読んだ原書はハズレが少なくて満足度は高かったから後悔はない<(`^´)>
今年もあと1ヶ月、ラストスパートで読み進むわよ!