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つぎはコレ読みたい 2024/10

えっと・・・この11月は短すぎませんでした? これといって忙しくしてたわけでもないのにいつの間にかもう月末だなんて・・・
もうこうなったら合併号で行きましょう! 2か月分の新刊を立てつづけに並べるわよ!

まずは10月発売の分から。

『Miss Beeton’s Murder Agency』 by Josie Lloyd
シリーズ:non
カテゴリ:コージーミステリ

 アリス・ビートンは独身子なしのまま50代を迎えるとは思ってもいなかった。遠い親戚にあたるあのビートン夫人(*)みたいに、すてきな家庭を築いているはずだった。それなのに、きれいに片付いているとはいえみすぼらしいアパートメント暮らし、相棒はやたらと縄張り意識の強いアガサ(コーギーとジャックラッセルのミックス犬)だけ、というのが現実だ。
 豪奢なタウンハウスや田舎の豪邸に口の堅い使用人を派遣する家政婦紹介所を運営するアリスのもとに、顧客のひとりから大急ぎで家政婦を紹介してほしいと連絡があった。雇ったばかりのエンヤを行かせることにしたのは、少々厚かましいとはいえ推薦状は申し分なかったし、なによりフランス語が堪能だからだ。
 ところが、新年早々そのエンヤが死体となって発見された。お高くとまってガードを固める金持ち連中に警察が手こずらされるのを見ていられず、アリスはみずから事件解決を目指す。

 いまどきコージーミステリを読む人なら、ビートンと聞いて真っ先に思い浮かべる“あの”ビートンといえばM.C.ビートンのはずですが、これは別人(下記*参照)。しかも飼い犬の名前が“アガサ”とは・・・喧嘩売ってんのかしら?
 まぁそんなことはないでしょうが、主人公が50代でバリバリ仕事する女性であるからにはパワフルで豪快なキャラが期待できます。家政婦の派遣先である中上流階級の内実なんかも興味をそそられますね。
 いまのところシリーズ名はついてなさそうだけど、次もありそうな感じではあります。

 *ビートン夫人というのは、19世紀に中産階級向けの家政学の本『ビートン夫人の家政読本』を出した人物。使用人がたくさんいるような家庭の奥様方に監督者としての心得を説くものだが、大量のレシピが含まれていて、現在のレシピ本の元祖ともいうべき著作。

『The Midwives』 by Anna Schofield
シリーズ:non
カテゴリ:心理スリラー

 病院の新生児室から赤ちゃんが連れさられそうになり、残された痕跡は犯人が助産師の誰かだと示していた。
 周産期病棟で働くケイティ、エリカ、スーの3人はその仕事ぶりに感謝されることはあっても悪役になることなどない。だから誰かひとりが逮捕されれば仲間を守り抜くし、担当する妊婦たちにも危険はなくなったと請け合わなくてはならない。
 子供が生まれもしないうちからレイラは心配でしかたなかった。ずっと子供を持ちたいとは思っていたが、パートナーはまだ心の準備ができないと言い、自分ひとりで育てられる自信もない。予定日が近づいてくると、それまではサポートしてくれていると感じていた助産師たちの行動に裏があるように思えてきた。後をつけられ、見張られている気がする・・・

 日本にかぎらず先進諸国では少子化傾向にあるけれど、子どもを望む人の数じたいは少なくないのだろう。社会的要因の数々がそれをためらわせているだけで。いろんなハードルを乗り越えて赤ちゃんを抱いた親にとって連れ去りなんてもってのほか、なのにいちばん頼れるはずの助産師を疑わなくてなならない状況はキツイよね・・・。

 10月にはオットー・ペンズラー編著『Christmas Crimes at the Mysterious Bookshop』も発売されました。〈ミステリアス・ブックショップ〉が毎年クリスマスの時期に顧客だけに提供してきた、ローラ・リップマンやラグナル・ヨナソン、トム・ミード、ジェフリー・ディーヴァーなどそうそうたる著者たちによるショートストーリーを集めたもの。
 そしてこちらも毎年恒例の短編選集『The Best American Mystery and Suspense 2024』、今年はS・A・コスビーがゲストエディター。


『A Truth Beyond Full』 by Rosie Oliver
シリーズ:non
カテゴリ:SFミステリ

 天王星の月のひとつ、ミランダは氷と岩だらけであるがゆえに採掘業が盛えてきた。だがこのところ深刻な事故が相次いでいる。岩の表面の奥に広がるパターンを読み解く能力を持つカイロンは、どこをどう掘ればいいかを決める立場にある。だから事故で婚約者を失くした彼は自責の念にかられて打ちのめされ、採掘から足を洗って、この地で発祥した宗教の司祭となった。

 英雄的存在だったある坑夫が亡くなり、その葬儀を取りしきることになったカイロンに、坑夫の妻が事故多発の原因調査を依頼してきた。カイロンは各所からの協力を得てやがてこれらがただの事故ではなかったのではないかと疑いを持つ。それは彼自身の命を脅かすことになるとは・・・

 そりゃあ、ウラがありますよね、そんな事故には。採掘現場の事故が続くとなると個人的な事情ではなく大企業のごうつくばりが手を引いてるに決まってるって。特殊能力を持った主人公が宗教者として真相解明に挑むなんてファンタジーみたいだけど、なんたって舞台が太陽系のはじっこのほうだし、強大な権力がからんだ陰謀ものだからきっと歯ごたえじゅうぶんなはず。

 11月分はこのあとすぐ! 明日にはきっと! たぶん!

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