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緑色の島風〜沖縄ライフありんくりん〜 |「味くーたー」の意味を知ると、沖縄料理がもっと楽しくなる(2023年8月号)

オキナワをもうちょっと知りたくなるマガジン「ハイサイ!ウチナータイム!」に2024年5月まで毎月寄稿していた原稿を、よんなーよんなー(ゆっくりゆっくり)転載しています。

※ 版元より転載の許可をいただいています
※ 一部文章を修正しています 

沖縄の味を示す言葉で、「味くーたー(あじくーたー)」という表現がある。
「こってりした味・濃い味」という風に使われることがあるが、実はそうではない。

『味くーたー = 滋味深く、何とも言えない深い味わい』

これが本来の意味。沖縄の伝統的な料理が「出汁によるうま味」を生かした料理であるということを象徴する言葉だ。

メニューとしては出汁のうま味を味わう汁物であったり、出汁のうま味を凝縮させて、素材に染み込ませた煮物だったりする。
鰹と豚の出汁を基本に、昆布や椎茸など乾物のうま味を合わせ、「味くーたー」な沖縄らしい料理が完成するのだ。
豚の油脂のうま味が加わることも重要。

ディープな沖縄料理「骨汁」

7月(2023年)に放送されたテレビ番組の撮影に立ち会った時のこと。
ディープな沖縄料理として「骨汁(ほねじる)」が登場し、出演者全員が唸るほどに好評を博していた。
骨汁とは豚出汁用の骨、肉身が付いた骨を使った汁料理。
骨から出る美味しいエキスと長時間かけて煮込まれたホロホロのお肉が溶け合った、沖縄の滋味深さ堪能できる「味くーたー」な逸品だ。

骨汁

出演者の堂本剛さんは「ソーキそばのスープの味をイメージするのが近い」と仰っていた。
同じく出演者の永瀬廉さんは「今まで食べた沖縄料理の中で一番好きかも」とまで。
初めて食べる・見る料理なれど食べた人を一瞬にしてトリコにするのは、沖縄料理の「味くーたー」が織りなす妙だろう。

「沖縄料理は優しい料理」

これも堂本剛さんが仰っていたコメント。そう、昔ながらの沖縄料理とは、見た目はワイルドでも、優しさに包まれた丁寧な料理なのである。
なーんて私が訴えるよりも、超・有名な方の一言は何万倍も影響力があるのは間違いなく、撮影に立ち会えて一番嬉しかった言葉だ。

さて、次なる料理は

次なる「ディープ沖縄料理」は何が登場するだろうか。
初めて食べる人も絶対好きになる味くーたー料理「クーブイリチー」や「スンシーイリチー」、「ドゥルワカシー」をお勧めしたい。

スンシーイリチー(シナチクの炒め煮)
クーブイリチー(昆布の炒め煮)

スンシーイリチーは沖縄県外の沖縄料理店では滅多にお目にかかれない。
もし沖縄訪問の際に見つけたら、必ず召し上がることをオススメする。

クーブイリチーは都内の沖縄料理店でもオンメニューしているお店もある。
味の想像に役に立つかもしれないから、レシピを掲載しておく。
沖縄料理店でご賞味いただき、自宅でもトライしていただきたい。

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