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【佐原ひかり『人間みたいに生きている』】サイン会にいきました
9月22日(土)、渋谷スクランブル交差点にある大盛堂書店で、作家・佐原ひかりさんの『人間みたいに生きている』のトーク&サイン会が開催されました。
運よくイベントに参加できたため、小説の感想とあわせて記事にします。
『人間みたいに生きている』
主人公の唯は「食べること」を気持ち悪いと感じ、食事をしてもほとんど嘔吐してしまう。食事できること当然とされる世界で、彼女の感性は異端である。
友人からもらったお菓子も料理上手の親戚が作ったご飯も食べられない。食べることは避けがたく、生活のあらゆる場面に困難がある。
そんな彼女が吸血鬼の噂を耳にして、山奥の洋館で「人間の血しか食べられない病気」の泉と出会う。彼は唯が食べられないことを非難しない唯一の存在だった。
しかし、食べることが苦手な唯と食べることができない泉の問題は全く別物である。泉は食べたいと望んでいる。
普通から外れた稀な特性を、マイノリティという言葉でまとめてしまうと、二人の悩みは一様に見えるかもしれない。そのように語ってしまうことの簡単さを、作家は意識的に避けているように感じた。
普通でないことを治療するのではなく、まずはそこにある自分を自分が認めることが重要なのだろう。
トーク&サイン会
サイン会の前に、佐原さんと編集さんによるトークが行われました。作品の印象的な場面について、読者が気になるところを興味深く語っていました。
その後、参加者から集めた質問に答え、サイン会という流れでした。
ポメラで執筆
パソコンは自分で責任がもてない、さまざまな機能があるため使っていないのが意外でした。第二世代のポメラで執筆し、原稿をスマホ経由で編集に送信している。執筆でパソコンを使わないことに驚きました。
執筆理由
書きたいものを書くのではなく、依頼内容に沿って「フェチ」を書く。風景を書きたかった『ペーパー・リリイ』、洋館を書きたかった『人間みたいに生きている』。
『ブラザーズ・ブラジャー』から何らかの問題意識を作品にしているように感じていましたが、小説にどこまで飛距離をもたせられるか意識していると語っていました。
飛距離、飛び道具。高校生の頃に文芸部に所属し、長年小説を書いていたらしく、執筆術に精通していそうな印象です。
サイン道具
金色と銀色のペンとオリジナルハンコをもっていて、編集さんがサインペンをフリフリしていたのが面白かったです。
感想
あっという間に時間が過ぎてしまいました。参加者の多くが、佐原さんのフォロワーさん同士でつながりがあるようでうらやましかったです。
お土産も何かもっていけばよかった。
サイン会は中村文則さんの『その道の先に消える』以来で、思えばこの作品も朝日新聞出版でした。サポートで来ていた男性のかたは、そのときにもいらっしゃったなと懐かしく思いました。
楽しい場を用意してくださった大盛堂書店さんと朝日新聞出版さん、そしてもちろん作家・佐原ひかりさんに感謝します。ありがとうございました。