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【活動録】7月23日
こんにちは。カムクワット読書会のTomsongです。
本日は井戸川射子さんの「この世の喜びよ」を課題作品にした読書会を行いました。
参加者は一名でした。はじめての読書会だったそうですが、知識も読書量も豊富な方でした。
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開催場所に入ると、まずは座席を確保しました。1対1なので正面から向かい合うことを避けてみようと思い、円形の座席を選びました。
先に入店したわたしは、コーヒーとモーニングを頼みました。ルノアールのモーニングについてくるヨーグルトが絶品なのでおすすめです。
井戸川射子「この世の喜びよ」
わたしがこの作品を読んだとき、女性と少女の関係にばかり注目してしまっていました。Twitterでの感想で書いたように「二人称視点が女性から少女に移り変わることの意味」を気にしていました。
一方で、参加してくださった方は、登場人物たちの世代に着目していました。10代の少女、20代の娘やゲームセンターの店員、(おそらく)40代の女性、ゲームセンターで遊ぶおじいさん。
題名に「喜び」とあるけれど、彼らの人生は喜びに満たされているようには見えない。それぞれの苦悩や寂寞があり、わたしの読解では少女は女性を通して親を、女性は少女を通して娘たちを幻視することで、架空の楽しみを感じていたのではないかと考えました。
年代が異なる人々に視点を移すことで、わたしの読解は他の登場人物たちにも当てはまるように感じました。さらに、誰かに自己投影する行為を彼らがやっているとなると、私小説のように「わたしは」で語らずに「あなたは」と二人称で語るこの作品は、「自己投影する行為」に対して何らかの意図があるのではないかと想像できるのではないでしょうか。
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おわりに
著者は詩人です。最近、第2詩集が刊行されました。今回、参加してくださった方がオススメしていたので、手に取ってみようと思います。
次回は来週7月30日(土)に横浜で遠野遥「浮遊」の読書会を行います。ご興味のある方は、気軽にご参加ください。
ここまでお読みいただい誠にありがとうございます。
引き続きよろしくお願いいたします。