現代美術と読書会の週末
週末は美術展や読書会に行きました。「カムクワット読書会の主催者はどんな人か」気になる方は、ご一読いただけると嬉しいです。
6月10日(土)
東京都現代美術館
清澄白河駅にある東京都現代美術館で開催されている「さばかれえぬ私へ」を鑑賞。
これは「Tokyo Contemporary Art Award」の受賞記念展で、志賀理江子さんによる東日本大震災、竹内公太さんによる第二次世界大戦に日本軍が使った風船爆弾に関するインスタレーションを中心にした作品が展示されていました。
前者は震災後の復興計画に翻弄された「被害者」たちが、どのような絶望を抱き、どのような被害に遭ったかを夜嵐の中をTVレポーターのように語る。
観覧者は、壁際に配置されたブルーシートなどに覆われたクッションに横になって眺めることができます。
また、展示スペースでは地図の上に赤いインクを血管のように垂らし、写真や言葉によって被害の実態を見せる。
後者は風船爆弾の落下地点の写真をパッチワークにして、風船爆弾を再現。その大きさは大迫力。
映像ではアメリカで風船爆弾の目撃者へのインタビュー、当時の報道記事の紹介、日本で風船爆弾制作をしていた当事者へのインタビュー、それが飛んでいく場面を眺めていた人へのインタビューなどが流されていました。
どちらも確かに被害を受けた人がいて、それが社会的な力、言葉によって隠ぺい・誘導されてしまう様を訴えている。しかし、一方で彼らは「知らなかった」という免罪符によって、完全に被害者に含まれる人たちもいて、それが「さばかれえぬ」ことなのか……と感じました。
古書店・ブックカフェ
駅を出てすぐの商店街に古書店がありました。「しまぶっく」と「smokebooks」で、それぞれ1冊購入。下町風情が残る街並み、そこに残る商店街に2件もの古本屋。これだけでも行ってみる価値があると思います。
さらにブックカフェ「ドレッドノート」もあり、そこでは古書・新書の販売。わたしはオリジナルの本を購入しました。今度はコーヒーを楽しみたいです。
ブルーボトルコーヒー
清澄白河フラッグシップカフェは、科学の実験室のような雰囲気。カウンター席に座り、新人指導を眺めていると、「10秒の場合……、20秒の場合……」などの例を飲ませて、味比べをしていました。そして、お湯を注ぐ練習。メモをシンク面にペンで書き込むなど、まさに研究室の先輩後輩関係のようで、良い雰囲気でした。
今回、わたしが注文したのは「ホット ノラ」と「プリン」です。ノラはラテアートされ、甘みとコーヒーの旨味がマッチしていまいた。
プリンはこの店舗限定。平坦な丘のような形状、カラメルソースにスパイスのようなものがまぶされています。
ドリンクは他の店舗でも飲んだことがありましたが、この店舗のものとは段違いでした。「ブルーボトルコーヒーって意外とふつう?」と感じたことがある方は、ぜひこの店舗へ行ってみてください。
6月11日(日)
神保町
読書会は15時半からだったため、少し早めに外出して神保町に行きました。目的地は東京堂書店と三省堂書店。途中で「PASSAGE by ALL REVIEWS」に寄りました。
ここは棚貸しタイプの書店で、特に著名人の出店が多いことが特徴でしょうか。今回は目的もなく、ふらっと見て回りました。驚いたのは『感応グラン=ギニョル』の空木春宵さんの棚があったことです。そこでアンソロジー本を購入。
続いて東京堂書店へ。3階のサイン本コーナーに書肆山田の本が大量に並んでいたので、思わず購入。詩の造詣は深くないのですが、楽しめたらと思います。
さらに、2冊を購入したところ、合計金額が1万円を超え「送料無料で配送サービスができますよ」と教えていただきました。ジュンク堂書店や紀伊國屋書店でも同様のサービスを行っておりますが、店員さんから提案していただいたのは初めてです。
配送をお願いしたところ、丁寧に梱包していただき、無事に到着しました。
そして三省堂書店の仮店舗には、おすすめしてもらった本のサイン本が並んでいると聞いて、どんなものか確認することが目的。発行部数が少ないのか、他の書店ではまったく見かけなかったので……。
個人的には自分の正しさ(面白さや楽しさなど)を正直に書いているため、刺さる人には刺さるだろうなと感じました。わたしには刺さらなかったので、購入を断念。この種の本の面白さは理解しつつも、ある種のヘイト本や自己啓発本に近しい面もあり、合わないと疎外感を味わう結果になりかねません。
読書会 谷崎潤一郎『春琴抄』
定期的に参加させていただいている彩ふ読書会。今月の課題本は『春琴抄』。谷崎作品は同読書会で課題本になった『痴人の愛』以来で、それとは語り口が異なるため、最初は驚きました。
しかし、読み進めると、「美」への執着。エロスへの執着を感じました。特に春琴をやたらと厠へ行かせるのは、あからさま過ぎて笑いそうになりました。
作品自体は、主人公が「春琴抄」という伝記(創作された春琴伝説)を基に、当時の関係者や噂を知る者に話しを聞いて想像した内容。今で言うゴシップ的側面があるのではないかと思いました。
参加者は3つのグループに分かれて、それぞれ話し合いしました。わたしが参加したテーブルには谷崎ファンが1人いたため、その方の発言力が強く、わたしを含めた参加者の感想や疑問点を拾っていただくことが多々ありました。
読書会はテーブルの進行役となったため、1時間のなかで発言のバランスを考えたり、会話の切り口を考えたりしながらだったので、皆さんは楽しめかが気になりました。
文学フリマ 編集会議
その読書会で11月11日(土)の文学フリマに参加する作品集に関する会議に参加しました。今回、わたしは執筆と編集、広報を担当。自作小説も掲載されるので、ぜひ一読いただけると幸いです。お楽しみに。
編集会議では文章の統一ルール、校正担当者の選定を中心に話し合いました。今回は先日わたしが文学フリマで感じた点(帯やポスターなど)を提案。
主催者の方は懐が深く、さまざまな意見を取り入れてくれます。表紙のデザインや帯のキャッチコピーなど、楽しそうなことが続きそうでワクワクします。
おわりに
週末の息抜きは大切だなと、あらためて感じました。平日の悩みやストレスをリセットする意味でも、書を持ち家を出ることは意味があると思います。
カムクワット読書会は小規模ですが、それだけ身近に感じていただけるでしょう。6月24日(土)には、下記の通り文芸誌に掲載された小説を課題作品にした読書会を行います。
現在は2名ほど参加予定。ぜひ、お時間とご興味がある方はご参加いただけると嬉しいです。