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わたしらって中の上じゃん?

とてもお洒落な二人が、久しぶりの様子で楽しそうに話していた。聞くともなく耳に入ってくる感じから、アーティストorそれを目指す人のようだった。

「まあ、◯◯さんや◎◎さん(有名アーティスト)はすごいからさ、
  あそこは無理としてさ
  ゆってもわたしらってその中じゃ 中の上じゃん?」

わたしらって    中の上  じゃん?

中の上   

ものすごくびっくりした。
その、自分のポジションを的確に認識してる、その感じに。

上はすごい、リスペクト、そこには絶対なれない
でも
中の中や下よりは上で
その中の下あたりからみたら、うちらイケてるわけで
そこから搾取したら、暮らしていけるよね。

そんなことは言ってはいなかったけど、そういうことでしょう。

たとえばカメラマンなら、すげえな、なんであんなの撮れんのかな
と嫉妬したり尊敬したりしながらも
もしかしたら、すげえ一枚が撮れたら  世界がひっくり返るんじゃないか
それを祈るようにシャッターを切るんじゃないのか。

どんな職能の世界もきっとそうで、
ミシュランがどうのとか、なんとか賞がどうのとか、
誰もが認めるわかりやすい基準で褒められたら、
きっと部外者にもすごいねって言ってもらえるんだけど

そんなの関係なく
他者との上下関係ではなく
自分の中のまだまだ足りないものへの飢餓感とか
できない自分への劣等感とか
そういうものとのせめぎあいの果てに
雲を突き抜けた者にしか見えない世界が見たい
それが動機なんじゃないのか。

雲を抜けた先は見晴らしが良く、そこには上も下もないはずなんだ。

自分のポジションを自分で定めた瞬間、雲は閉ざされる。
あとはいかに「下」の者に自分をすごく見せるか
いかに金を払わせるかしか考えなくなるよ。

そんなのつまらなくないか?

彼女らから見たら「中の下」以下かもしれないわたしは
世の中のヒエラルキーとは違うレイヤーで生きていきたい。

彼女らからは、見えなくなってもいい。



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