見出し画像

歩く人 漫画とドラマ

故・谷口ジローさんの名作「歩く人」(完全版)を購入しました。現在NHKのEテレで毎月末に放送中の同名ドラマの原作です。これまで未読作品です。

僕がジローさんの作品で読んだことがあるのは「事件屋稼業」「孤独のグルメ」「父の暦」「犬を飼う」「漱石の時代」「散歩もの」「センセイの鞄」「猟犬探偵」ぐらいです。

画像1

その前に…。この本、変っています。僕の知らない製本技術のようです。

amazonの本書評価欄を参照しました。やはり僕が知らない技術で製本されていました。

コデックス装(バックレス製本)という特殊な閉じ方で製本されているので、パタンと見開くと、トップの画像のようにノドまで綺麗に見開けるのです。僕が出版社にいたときには見たことも聞いたこともない製本技術です(恥)。本当に知らないことが多いですね。この製本技術のおかげで谷口さんの漫画を画集のように鑑賞できるのです。

漫画や文学を愛するならば紙でなくちゃ。電子書籍じゃダメなんです。でも、時代に取り残されていくんでしょうね。僕のように部屋が本やガラクタで埋め尽くされているなんてダサいのかもしれません。

現在NHK Eテレで月1回放送中のドラマ「歩く人」(井浦新、田畑智子主演)が素晴らしいので、読んでみようと思って購入しました。作品も素晴らしいけれど、まず驚いたのはこの装丁です。

「コデックス装」

amazonの本書評価欄を参照しました。僕が知らない技術で製本されていました。

コデックス装(バックレス製本)という特殊な閉じ方で製本されているので、パタンと見開くと、トップの画像のようにノドまで綺麗に見開けるのです。僕が出版社にいたときには見たことも聞いたこともない製本技術です(恥)。本当に知らないことが多いですね。この製本技術のおかげで谷口さんの漫画を画集のように鑑賞できるのです。

画像2

画像3

漫画や文学を愛するならば紙でなくちゃ。電子書籍じゃダメなんです。作品本来の味がわからないからです。漫画も文学も芸術も、作品だけでなく、それが表現された素材のマチエール(質感)が重要なんです。それらを合わせた総合的な表現であるからです。

でも、時代に取り残されていくんでしょうね。僕のように部屋が本やガラクタで埋め尽くされているなんてダサいのかもしれません。

「NHKドラマの印象から」

さて、ジローさんの漫画「歩く人」は、僕くらいの年齢(あるいはもう少し若いかも知れません)の夫婦の穏やかな日々を描いたものです。

しかし、NHKのドラマは、悪い意味ではありませんが、原作の(多分こんな感じ)だろう?と深い部分を掘り起こして幻想的にした感じです。こんなことを書くと大変申し訳ないのですが、僕が22歳の頃に描いていた漫画のようなお話です。「一緒にするな!」と怒られそうです。でも、僕が描きたかったのは、まさにドラマ「歩く人」なのです。

非現実的で幻想的な脚本によって構築されており、漫画雑誌「ガロ」系の漫画群のような印象です。こういうのが好きな人は必見のドラマです。脚本は田口佳宏さんという方です。演出はアベラヒデノブさん。田口さんは「孤独のグルメ」「日本ボロ宿紀行」(これも面白かった。必見です)などの脚本家で、アベラさんは「日本ボロ宿紀行」の監督もしていました。脚本家でもあります。

本書を購入したのも“原作も、そういう作品なのか?”と考えたからです。しかし…。

さて、まず本書に添付された「谷口ジローが『歩く人』を描いた日々」を読みました。本作の連載時に付されていた近況報告をまとめたモノです。当時の担当編集者さんの「『歩く人』が歩き始めたころ」も併載されています。
「歩く人」は、講談社の週刊モーニングの増刊として月刊で刊行されていたそうです。僕は漫画は好きですが、“まとまったカタチのモノ”が好きなので、単行本として刊行された作品しか読みませんから、もちろん連載されていた頃のことを知りません。

ジローさんが実際に経験した出来事とリンクした部分もあるそうですが、実際に読んでみると、ドラマとは違った“夢のようなできごと”の世界が展開されます。

ひとつ、僕にも漫画と似たような経験がありました。漫画では、誰もいない学校のプールに忍び込んで全裸で泳ぐお話があるんですが、僕が大学の時に下宿の奴らと夜中の小学校に泳ぎに行った事があって「うわぁ同じだ!」って驚きました。まあ、そんなお話が並んでいるのです。

しかし、物語よりも、ジローさんの絵の力に圧倒されちゃいます。これはつげ義春さんとはまた違った芸術漫画ですね。プロの漫画家さんに対して大変失礼ですが、画力が物凄いんですもの。それに、この小気味の良い描線…シビれちゃいます。

そもそも僕は「孤独のグルメ」が、ガロ系の久住昌之さん(ガロ時代は泉晴紀さんと組んで泉昌之として活躍)が原作者なので、ジローさんもガロ系だと勘違いしていたのです。ちなみに谷口ジローさんの師匠は「巨人獣」の石川球太さんと「同棲時代」の上村一夫さんです。おふたりのアシスタントを経て独立されたのですね。

漫画家としてはジャン・ジロー(メビウス)などのバンドデシネ系(フランスにベルギーなどの地域の漫画)漫画家の影響を受けたということです…とWikipediaに書いてありました。もちろん僕は知りませんでした。

残念ながら谷口ジローさんは、2017年2月11日に逝去されています。69歳でした。奇しくもデビッド・ボウイさんと同い年で亡くなっているんです。転載は違いますね。69歳って若いですよね。僕も来年は65歳ですからね。それほど変らないんです。

ああ、「27クラブ」というのがあります。27歳で死ぬミュージシャンが多かったことからそう呼ばれます。ジミ・ヘンドリックス、ジム・モリソン、ブライアン・ジョーンズ、ジャニス・ジョップリン、ピート・ハム、バスキア、カート・コバーン、エイミー・ワインハウス…など。その話はいずれまた…。


いいなと思ったら応援しよう!