東京＆放浪万景 「母と義父」 東京都江戸川区西葛西から神奈川県大和市南林間
2014年11月に妻の父が亡くなってから2ヶ月後の2015年1月に僕の母が死んだ。義父は重度の認知症を患い、江戸川区西葛西の病院から埼玉県戸田市の専門病院を経て、千葉の施設に入所してすぐに死んだ。
これは西葛西の病院に入院していたときのものだ。この後、この病院から戸田市の精神病院に転院させられた。
義父は義母が同じ病院で亡くなってから10年をひとりで過ごした。ひとり暮らしが認知症を引き起こしたのかもしれない。
義父はひとりで寂しかったに違いない。
この写真は、西葛西の義父の病院から、僕の実家に母の様子を見に行ったときのものだ。
僕の母は20年近くを妹とふたりで過ごしたから義父よりは精神的に救われていただろう。
それでも、近所の友だちたちは次々に亡くなり、集いの場だった喫茶店もなくなって寂しい思いをしていたに違いない。
親不孝な僕は、ひとつきに1度くらいしか実家に戻らなかった。母を訪ねるときは決まって無心目的だった。
それでも母は歓迎してくれた。僕は、母と義父の辛さを理解していなかった。
母は、僕に「早く帰れ」と言ったが、それは「もっと居てほしい」という意味だったに違いない。