責任と時間と写真
「業界誌記者の責任」
業界誌の記者だった頃、取材はインタビューしながらメモをとり(デープレコーダは使いませんでした)、話している表情を撮影して、取材終了後には広告営業までしていました。それが業界誌記者の仕事だったのですね。一番苦労したのがフィルムカメラでの撮影でした。フィルムカメラは露出が基本です。ほとんどがストロボ撮影でしたから、その露出にあらかじめ絞りやシャッタースピードを決めておけばいいので、これはそれほど辛くはないのですが、「それじゃ外で撮影しましょうか?」何て言われたら、外光の露出に会わせなければなりません。これは内部露出計で適正に合わせれば良いのですが、逆光の場合には絞りを開けるなど微調整が必要です。
今のデジタルカメラでも、きっちりと撮影するならば、そういった作業は必要ですが、楽なのはその場での写真確認ができることです。フィルムカメラ時代は違います。帰社したらフィルムをDPEに出すのです。自社で現像所を持っている会社もありましたが、大半はDPEに出しました。んで、DPEから写真があがって確認する際に「うわ!露出オーバー(アンダー)だ」「げげ、ピンボケじゃん」「ワタナベ、どうするんだよっ!」って上司に怒鳴られるのです。
しかし、録音せずに取材メモをとりながら(フィルムカメラで)撮影までするという芸当はなかなかできるものではないのです。これらの作業には大いなる「責任」が伴うからです。責任感に押し潰されてしまうと、何かしら失敗してしまいます。ですから常に細心の注意をはらいながら無心状態で取材するのです。
取材メモも撮影も記事を書くための素材です。この素材がなかったら記事は書けません。ですから、もし、メモや撮影に失敗したら責任を問われちゃいます。取材相手は、多忙な中に取材対応してくれているのですから、取材に失敗したとしても、再度取材応じてくれることなどありません。
ですからもの凄いプレッシャーに押し潰されることのないように、ほどよく緊張しながら取材するのですね。
「時間の習俗(松本清張ではありません)」
原稿用紙に執筆、写植版下の時代の昔は、雑誌発行までには、もの凄く時間がかかりました。一連の作業として、アポイント→取材・撮影→DPE→記事執筆→編集長の了承(記事広告だと紙の原稿を広告主に送って内容確認)→写植・版下(校正)→印刷所(同時校正)→最終校正→発行となりますが、紙原稿だと時間がかかるのです。メール添付できちゃう現在とは雲泥の差です。
僕が退職したのは11年前です。その時は紙原稿+写植版下ではなくパソコンで編集するようになっていましたが、何故か一連の作業は紙原稿+写植版下時代と同じぐらいに時間がかかったのです。おそらく、便利な時代にあぐらをかいて時間の有効活用ができなかったからでしょう。
時間というのは無駄にしてはいけませんよね。でも、僕のように高齢者の仲間入りをすると、時間経過が早いのです。あっという間に1年が経ってしまいます。ですから死を意識するようになるのですが、ま、今回はそれがテーマではありません。
文章が下手だと僕のように前置きが長くなります。これで文章講師をしているのですから図々しいですよね。
「写真時代」
さて、写真です。写真なのです。
高画質で撮影できるカメラ内蔵スマートフォンが当たり前になると、デジタルカメラで撮影することが少なくなりました。それでもスマホは望遠系が弱いので遠くのものを撮影するにはデジタルカメラですね。
写真って基本はピント合わせと露出ですが、今はすべてオートでやってくれますね。でも、基本は重要です。一応マニュアル操作に関しては理解しておいた方が良いでしょう。あ、被写界深度も重要です。これを理解しておけば“それなりの写真”を撮ることができます。
基本を知識としておさえたとして…写真で最も重要なのは構図だと思います。絵心がなければ写真を撮っても良い写真は撮れません。残念ながら僕には絵心もないようです。
以下にスマートフォンで撮影したものを見てみましょう。
ドクダミは写真映えする被写体ではありませんが、こうやってアップして被写界深度を浅くすれば背景が“ボワッ”として幻想的に見えます。被写界深度は、マニュアル操作ができるカメラでは、絞りを開けることで浅くなり、絞れば深くなって背景までピントが合うので“ボワッ”とした感じがなくなります。
今は紫陽花の季節です。鎌倉なんかに行かなくても、近くの“何てことのない1本だけの紫陽花”でも、アップで撮影すれば、まあキレイに撮れるんです。
構図を考えれば、面白い写真が撮れます。
これは本当は青い部分にピントを合わせたかったのですが、前にピントが合う(前ピン)になり、失敗しました。老眼は被写体がはっきり見えないから大変です。スマホは画面が大きいモノを持ちましょうね。
少しボケた写真ですが、雨上がりにバラに付いた水滴を撮ったものです。
これもボケちゃいましたが、きっちりと撮影できれば水滴が思わぬ効果を出してくれます。
これはスマホを花の中にグイッと突っ込んで適当にシャッターを切ったモノです。猫とか犬とか小動物の目線で撮影できます。10枚くらい撮れば1枚ぐらいキレイな写真が撮れるでしょう。
noteを活用されている方々は、文章、写真、絵の専門家の方々が多いようですから、こんなことを書いているのは恥ずかしいのですがね。
あ、何がテーマだったのか? 忘れちゃいました。これは悪い見本です。文章を書くときは大筋を決めてから書きましょう。