【基調講演編】第71回 日本デザイン学会 春季研究発表大会に初参加しました
2024年6月21日〜23日まで第71回 日本デザイン学会 春季研究発表大会が、九州産業大学にて開催されました。
私はデザイナーという肩書ではありますが、デザインの大学を出ている訳ではないので、デザイン学会には入れてもらえないだろうというイメージがずっとありました。
しかし、Xデザイン学校という私塾に2022年からお世話になっていて、先生の方からの進めもあり、“まずは拝見させていただきます”という気持ちで今年初めて参加させていただきました。
1日目の基調講演では、勉強家兼、京都精華大学人文学部 特任講師の兼松佳宏さんに、「ソーシャルデザインと慈悲 ― “ほしい未来”を育む情報環境」と題して講演いただきました。
兼松さんは、2007年にWebSig会議で「デザインは世界を変えられるか - シリコンバレー最新事情からソーシャル・クリエイティブまで」という講演を拝見したり、WebSigエコ&ピースなどの活動を知っていたので、greenzの兼松さんというイメージが大きかったのですが、講演で唐突に「仏教好きですか?」の問いかけを受けて、10数年の間に等々神の世界までいかれたのかと度肝を抜かれました。
仏教好きですか?は前フリだったようで、真言密教における菩薩道と、ソーシャルデザインを成功に導くのに必要な要素がとても近く、その九会曼荼羅を使ったフレームワークの紹介へと話は続きました。
ソーシャルデザイン九会曼荼羅というフレームワークは、ソーシャルデザインを実践するために必要なシンプルな問いが書かれており、問いに対して対話を重ねていくうちに4つの要素が磨かれて、その人にしかできないユニークなアイディアが生まれてくるそうです。
事例1 おてらおやつクラブ
持て余しているお供え物がある一方で、お腹をすかせている人がいる。「おてらおやつクラブ」では、お寺にお供えされるものを仏さまからの「おさがり」として経済的に困難な状況にある家庭へ「おすそわけ」する活動。
事例2 100台ベビーカーダンス
発端は、ダンサー&振付師の吉沙也加さんが、自身が産後ダンスをしたいけれど、子供を連れてダンスをするのが困難という体験から生まれたプロジェクト。
普通のダンス教室では切り離されてしまう赤ちゃん&ベビーカーをいかし、100名でダンスするとういう大きなプロジェクトへ発展した。
ソーシャルデザイン九会曼荼羅の中央にある「プロジェクト」のみを考えると中々浮かび上がらないが、周りの「Why?」「How?」「Who?」「Which?」を埋めていくことで、なぜそのプロジェクトなのかが納得感を持って作れそうな気がしました。
ソーシャルデザインの罠と、慈悲喜捨の実践
ソーシャルデザインを実践していくと、知らず知らずのうちにエゴがでてきてしまうときがあることは、なんとなくわかっていたのですが、兼松さんが図にしてくれたのは非常にわかりやすかったです。
例えば、誰かのためという思いやりで動いていたはずが、いつの頃か、認められたいとか見返りが欲しいという思いが強くなってしまう様なこと。
そこで出てきた解が慈悲の瞑想として「慈悲喜捨(じひきしゃ)」という方法を使うというものでした。
慈悲喜捨の4つの意味は
慈:他人に楽を与えようとする心
悲:他人の苦を抜こうとする心
喜:他者の喜びを自分のこととして喜ぼうとする心
捨:好き嫌いによって差別しない平穏な心
個人的には、知らず知らずのうちに実践しようとしていたなと感じました。
自画自賛!といいつつも、やっぱり自分がやりたいことを他者が実現した時は、やっぱり喜べないです。「ちくしょー」って思います。
でも、簡単に実現することはできないはずなので、どうやってその人が課題をクリアしたのか知りたいという気持ちになり、教えてもらったりして、尊敬に変わるということが多いです。大半は自分より100倍位頑張って結果出している人が多いので…むしろ同じ土俵に上がってたつもりになってた自分、恥ずかしいとなります。
勉強家という肩書の兼松さんらしく、他にも色々な話がでてきたのですが、全てをその場で咀嚼できなかったです。
少しづつでもバシバシ撮影したプレゼン資料の写真を読み解き理解していこうと思います。