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相手とどう関係すればモノを買ってもらえるか? に思いを馳せるマーケティングの回。

社内の経営戦略勉強会「Tribal Professional Academy」、通称「TPA」。今回のお題は「リレーションシップ・マーケティング」と「サービス・マーケティング」。

「リレーションシップ・マーケティング」とは顧客との良好な関係(リレーション)づくりによって商品・サービスの満足度を上げ、長期的な利益を獲得するための手法のこと。
「サービス・マーケティング」はなかでもサービス価値に焦点を当てたマーケティング手法とその分野、と、まずは定義の仮置き。うんと既視感あり。

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マーケティング手法は本当に”変遷”するのか?

『ONE to ONEマーケティング』を取り上げてみよう。こちらは1995年の初版。「25年前の”情報革命”ってファックスだっけ?(そんなはずない)」という引っかかり以上に、いま2020年現在のマーケティングや、Saas事業におけるCSの重要性を預言するかのような内容に、SF小説を読んでいる気分に傾きかける。

しかし。本書が示唆することを追ううちに、これは預言ではなく、マーケティング自体の本質を語るからなのでは?と思い直す。既視感の理由もきっとここにある。

(リレーションシップ・マーケティングや顧客満足など)これらのマーケティング手法はどれもみなテクノロジーの急速な発展によって注目を浴びたものである。(中略)これらはどれも新しい競争技術であり、より安く、より有効で、しかもより簡単な情報処理テクノロジーに依存している

本書で語られるのは、従来のマス・マーケティングと対比させたワン・トゥ・ワンマーケティングのノウハウではない。”ワン・トゥ・ワン機能を備えたニューメディア”の登場によって引き起こされるパラダイム・シフトの世界において競争優位を築くために、競争そのものに対する考え方、取り組み方の例を繰り返し論じている。

テクノロジーが変われば、人が変わる。アプローチが変わる。だから、戦略的優位を取るためにはマーケティングも変える必要がある。こんな感じ?

「テクノロジー」 ×「人」= 「マーケティング」 ×「テクノロジー」

数学的に上記を紐解くと「人=マーケティング」になっちゃう。ちょっと哲学的。

『ONE to ONEマーケティング”の中で語られる、一人の顧客との独自の関係(=リレーションシップ)構築の重要性、顧客との協働、顧客シェアといったキーワード。そして、「個」の時代になった今、私たちが挑むマーケティング。
両者のアプローチの差分があまりにないことを驚かずに冷静に見つめると、競争優位を導くためのマーケティング手法とは「テクノロジーの駆使」で「人を動かす」ことであり、それはマス・マーケティングであろうとリレーション・シップ・マーケティングだろうとマーケティング3.0であろうと変わらない。

ならば、刮目すべきは「テクノロジーによって変わりゆく人」であって、ツールとしてのテクノロジーは使ってしかるべきのただの手段、差別化要因にはなりにくいとうことになる。

マーケティング初心者としては、次から次へと立ち現れる「○○マーケ」というワードの数の多さにたじろぎがち。けれど、「歴史は繰り返す」的な視点でのトレースより、マーケティングの本質って人とテクノロジーの掛け合わせだから・・・って考えてその中に身を沈め、顧客を妄想しながらとするっと入っていく方がずっと楽しい。

・・・リレーション・マーケティングからずいぶん逸れちゃった。

顧客を全部知っても成功するとは限らない、そのワケ

『顧客はサービスを買っている』の初版は2009年と、こちらも古い一冊。サービスという見えざる対象を構造的に分類・分解・モデル化して見える化する方法は、きっと私たちのCSでも指差し確認的に使えるんじゃないかと思った。その過程は、bizdevで繰り返すユーザーストーリーマップのようだ。

著者は、サービスをこう定義する。

著者の考える新しいサービスの定義は「人や構造物が発揮する機能で、ユーザーの事前期待に適合するものをサービスという」である。

諏訪 良武. 顧客はサービスを買っている (Japanese Edition) (Kindle の位置No.966-967). ダイヤモンド社. Kindle 版.

「マーケティングの本質=人とテクノロジーの掛け合わせ」という、OnetoOneマーケティングから導き出した仮説のなかで抜けてるように感じたピース、つまり「そんな簡単じゃないよ!」の理由はこれなんじゃないかな。

個をターゲットにするということは、その人の全てを知ればマーケティング活動は必ず成功することになる。けれどどこまで知ったところで絶対にそんなことが起こりえないのは、「人は自分の事前期待を自覚していない」から、ということになる。

「テクノロジー」 ×「人」 × 「x(期待値)」= 「マーケティング」 ×「テクノロジー」

不確定要素x(=顧客の事前期待値)に対して、いかに効率的かつ効果的にアプローチするか、というサービス・サイエンスの切り口こそ、サービス・マーケティングひいてはリレーション・マーケティングの本丸なのでは。自分たちのプロダクトにも活かせる最大の収穫だった。

最初から最後までクロワッサンをぺしゃんこにして飲み込んだ気分だけど、マーケティングがますます楽しくなってきたから良しとする!




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