『エルヴィス』一度も音を外したことがないエルヴィス・プレスリーの真実を描く伝記映画
7月1日(金)公開の映画『エルヴィス』を一足早く観ました。
子供の頃からエルヴィス・プレスリーの音楽はあらゆる場所にあったし、自分の好きなミュージシャンがカバーすることも結構あったので、エルヴィスの曲には慣れ親しんできました。
何年か前、エルヴィスが出演した劇映画や、ドキュメンタリー作品、ライヴ映像などをたっぷりと紹介する記事を執筆する機会があり、全部観たところ、エルヴィスがどんな人で、彼に何があったのか、どんな音楽を作ってきたかを一気に知って、完全にエルヴィスの虜になりました。
私は歌の巧い人が大好きで、というか巧くない人は苦手なんですが(汗)、エルヴィスは体調が良くない時でも、音を外すということが一度もなかったそうで、まずそこに物凄く惹かれました。
そして、晩年の太ったエルヴィスのイメージが浸透しているかもしれないですが、彼は素晴らしく美形で、若い頃のエルヴィスを「イケメンじゃない」と言える人はいないのではないかと思います。
さらに、エルヴィスは黒人文化に触れながら育ったので、人種差別が酷かった時代でも、人種に関係なく音楽を愛する者同士で親しくし、積極的に黒人音楽をパフォーマンスしていたところも最高だと思います。
そのほか、エルヴィスの魅力は多々ありますが、ドキュメンタリーを見るにつけ、彼の人生が過酷だったこと、音楽ビジネスの醜い駆け引きに翻弄されていたことなどが分かり、今回 彼の真実を描くという映画『エルヴィス』が作られると知った時は、どんな内容になるのか興味津々でした。
予告を見た瞬間、鳥肌が立ち、「これは絶対に早く観たい!」と思いました。エルヴィスを演じるオースティン・バトラーの再現度がかなり高いと感じたし、オースティンは歌が巧く、パフォーマンスもそっくりだなと。
幸運にもかなり早く本編を観ることができ、まず思ったのは、とてもバズ・ラーマン色の濃い作品だということでした。彼の代表作は『ムーラン・ルージュ』などですが、眩い映像と派手目の演出で、エルヴィスがスターとして誕生し、“キング・オブ・ロックンロール”に上り詰めていく様子をテンポ良く映し出していきます。その中で、エルヴィスの苦悩を表現しているので、キラキラした音楽業界とエルヴィスが体験する闇の対比がはっきりと伝わってきます。
名優トム・ハンクスが悪名高き“トム・パーカー大佐”(エルヴィスのマネージャー)を怪演しているのですが、パーカー大佐がエルヴィスとの出会い、彼をスターにした過程、自分の功績を語っていくことでストーリーが進んでいき、パーカー大佐の想いとエルヴィスが感じていることの食い違いがドラマチックに描出されていきます。
私はドキュメンタリーでパーカー大佐についていろいろ知ったのですが、感情面に関する本当のところは分からないまでも、彼がしたこと、しなかったことは事実として残っているので、今回の『エルヴィス』でそれがどのように描かれるのか非常に興味がありました。オスカー俳優 トム・ハンクスの名演技、そしてバズ・ラーマン監督の演出でどのように表現されているのか、ぜひ本編を観て確認していただきたいです。
映画『エルヴィス』US版予告
何と言っても注目は、エルヴィス役に挑んだオースティン・バトラー。私は、彼にはディズニーアイドル出身のイメージ(良い意味です。ディズニーアイドル出身者はみんな歌もダンスも演技も巧いので)を抱き続けていますが、少年っぽさを残しつつ、すっかり大人の男性になって、エルヴィスの唯一無二の色気はかなり出せていたと思います。横顔はよく似ていて、何より声がそっくりで感動しました! 歌も巧い!!
オースティン・バトラー
オースティンを最初に意識して見たのは、「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」のゲスト出演だったと思います。なので、ディズニーアイドル出身と思っていましたが、ニコロデオンの番組にも出ていたので、正確にはディズニーアイドル出身とは言えないかもしれないですね。
その後、「セックス・アンド・ザ・シティ」の前日譚「マンハッタンに恋をして 〜キャリーの日記〜」に主要キャストとして出演したり、「シャナラ・クロニクルズ」に主演したりなど、海外ドラマファンから注目されるようになったオースティン。
エルヴィス役に大抜擢されたと聞いた時は、「おぉ、すごい! ついにオースティンの時代が来た!」と喜びました♪
映画『エルヴィス』は、確実にオースティンの代表作になったと思いますし、命を削って熱演していると感じるくらい、エルヴィスの魂を体現していることが伝わりました。
オースティン・バトラーとトム・ハンクスの熱い演技がぶつかり合う『エルヴィス』。
エルヴィス・プレスリーに興味がない人も本作を観て、エルヴィスの音楽と彼の人生に興味を持ってもらえたら嬉しいです。
映画『エルヴィス』日本版予告