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しばいばなしvol.3 「月雲の皇子」【珠城りょうゲストトーク】 後編

シラスチャンネルでは、上田久美子の現在・未来の作品についてシェアするとともに過去の上田作品についても語っています。
過去編のなかでは10月に「月雲の皇子」を特集し、木梨軽皇子役の珠城りょうさんをゲストに、当時の演技について振り返るとともに、女優としての現在地を、じっくり伺いました。
今まで言葉にしたことはないけど…といいながら、スター芝居をあえてしなかったその真意など、演技について色々な思索を話してくれた珠城さん。熱く語るうちに最長時間の対談になりました。
最後には1月から始まるNHK大河ドラマについても少し触れていただいています!
後編も、お楽しみ下さい。




珠城

もちろんここに来るまでに色々な経験をさせていただいて、その度に得るものや勉強になるものがあったんですけど、『月雲の皇子』は知らなかった自分の感情や景色がありとあらゆる所で自分のなかに湧き上がった作品でした。だからそのぶん大変だったんですけど、凄く楽しくてやりがいがあったし、なんか……

生きてる実感が…!(吹き出す)


上田

え、なんでそんな爆笑してるの!?(笑)


珠城

いや、違う違う(笑)私、この前もマネージャーに「私、変なんだけど…」って話したことがあって。
『月雲』は最後、亡くなって終わるじゃないですか? 私はそういう人生を生き切って亡くなる役をちょこちょこやらせていただいてるんですけど、どういう結末であれ一つの生を全うするからなのか、演じたあとに謎の達成感があるんですよ。そういう役のほうがハードなんですけど、なんかやり切った感があって。
『月雲』はそれを初めて経験した作品でした。終演後、めちゃめちゃ体はボロボロだし、しんどいはずなのに「もうひと公演できるかもしれない」って思うぐらいの(笑)、すごい達成感。
「生きてる…!」って感じたりして、この感覚は何なんだろうって凄く不思議でした。アドレナリンが出てたのかなあ? 


上田

たぶん、それが観客の方たちの興奮を掻き立てたところなんでしょうね。それこそ本気で倒れに行くとか、「本物でやってる」ところが。
本当はそれって危ないことだけど、舞台ってそういうものを見せる場でもあるしねえ。
でも、運動量の面では皆さん大変だったと思うんですけど、私にとっては正直これが一番稽古の楽だった作品なんですよ。おかしくないですか? 「デビュー作の稽古が一番楽」って。
むしろファッションが一番の悩みだったんですよ。だって、髪型は角髪(みずら)で服は埴輪みたいじゃないですか(笑)企画が採用されたはいいけど、「衣装はどうしよう、やべえ」って。


珠城

角髪をどうステキに見せるかっていうことですね(笑)


上田

そう。それで「どうやって実現しよう」って悩んでた頃に、珠ちゃんに電話で「今度一緒に作品やるよ、よろしくね〜」って言ったことがあったんだけど、お話の内容を説明したら、珠ちゃんが「先生、劇団☆新感線の『蛮幽鬼』を観たほうがいいですよ」って教えてくれたんですよ。


珠城

偉そうに!?(笑)もう覚えてないですよ。


上田

でも、たしかにその作品の衣装やカツラが、時代劇風ではあるけれどファンタジー的で時代を特定せずに済むようになっていて、そのおかげで衣装の目処がついたんです。
しかも、闇堕ちするキャラもいたでしょ?


珠城

あ、だからお勧めしたのかもしれない! あれも主演の上川(隆也)さんが闇堕ちしていくから。


上田

そうそう、そのキャラに似てますよって教えてくれて。
だから、珠ちゃんはその当時から芝居好きで、色んなものを観てるなあって印象だったんですよ。

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