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しばいばなしvol.1 「翼ある人びと」【朝夏まなとゲストトーク】 後編

シラスチャンネルでは、上田久美子の現在・未来の作品についてシェアするとともに過去の上田作品についても語っています。
過去編のなかでは9月に「翼ある人びと」を特集し、主演の朝夏まなとさんをゲストに、当時の演技について振り返るとともに、目覚ましい活躍を遂げておられる現在の朝夏さんの演技論、ここまで飛翔を遂げるに至った過程を、じっくり伺いました。
後編は、退団後のキャリアをめぐってお話しています。

上田久美子
そこからですね、今日はまあくんの第二の俳優人生についてもお話を伺いたいというのが対談の趣旨なんですね。俳優としての変化や演技論についても知りたいなと。
私は日本にいなかったり、まあくんのその後の活動のフォローができていなかったので、少しでも勉強したいと思って、直近でやっていた『モダン・ミリー』という作品を劇場で拝見しました。さらに、まあくんのマネージャーさんにお願いして、いろんな映像をいただいて、勉強しようとしたんです。『まあくん月間』というか。

朝夏まなと
(笑)

上田
ところが滞在中の東京のホテルにブルーレイプレイヤーがなく、頂いたブルーレイが、どのカラオケ屋さんに行っても、どの漫画喫茶に行っても再生できなかったんです。普段行かないカラオケ屋さんにオドオドしながら入って勉強しようとしたんですが… 再生できなくて撃沈しました(苦笑)。

朝夏
あらあら!

上田
でも、宝塚を退団されてから『笑う男』は観たんです。あれは退団してからどれくらいの時期の作品だったんだろう?

朝夏
退団して2年目かな? 本数で言うと3本目ぐらいでした。

上田
あのときはまだ、宝塚の男役から女優として女性役を演じ始めた「過渡期」という印象を受けました。それから先日『モダン・ミリー』を拝見したときに、まあくんが女優としてのすごいキャリアを築いてこられたことに気が付いたんです。
そのときにふと思い出したのがまあくんのマネージャーMさんのことで、『笑う男』が終わってしばらくした頃に私に個人的に連絡をくれたことがあったんですよ。
「朝夏はいま脱皮しなければいけない時である」って。(笑)

朝夏
あはは! そんな連絡してたんですね!? (Mさんが)首傾げてますけど今。

上田
はい、「彼女にはそろそろ修行が要る。上田さんに出会わなければいけない」みたいな。(笑)
その後、私はMさんの言葉を真に受けたまま海外に行ってしまって、(朝夏の出演する)舞台やテレビを見る機会がなかったんです。なので今回の対談の前に『モダン・ミリー』を観に行ったときも「(今の朝夏は)どういう感じなんや? どういうブラッシュアップを必要としてはるんや?」みたいなちょっと先生的なスタンスだったんですよ。

朝夏
「脱皮はできたんか〜?」みたいな?(笑)

上田
そう!(笑) それが、今回『モダンミリー』を客席で見ていて「あれ!?」って、自分のスタンスをむっちゃ反省したんです。私の知っているまあくんの姿からあまりに遠くに行っていて、本当にすごかったんですよね。俳優としてのスキルもそうだけど、元宝塚の男役が女性を演じるうえで難しい「どれだけ自分の芯の部分に繋がれるか」という問題も完璧にクリアしていて、本当にビックリしたんです。たった7年でそんなふうになれると私には想像できなかったんですね。「いったい何をやってこんなふうになれたんだろう? 私なんかに出来ることはマジでもう何もない!」って。
それでMさんに「本当にすみませんでした、チケット代お支払いします」ってメールして、今日もチケット代を封筒に入れて持ってきた(笑)

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