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脳科学に基づくスライドデザインとは

みなさんは「自分は良いと思って作ったプレゼンの内容が、人によってあまり伝わらないことがある」とか、「チーム内での反応は良かったけど、外部の人やお客様にプレゼンすると反応が薄い」とか、相手によって思った反応が得られたり、得られなかったりという経験はありませんか? 

聴衆に興味を持ってもらうプレゼンをするのは難しいと感じる人も多いと思います。しかし脳科学の知識を使うことで、みんなに「刺さる」スライドをデザインすることができます。実は人間はひとりひとり脳の使い方が異なります。例えば右利きの人と左利きの人がいるように、脳にも利き脳というものがあるのです。この利き脳は遺伝的要素と後天的要素によって作られていて、人々の思考特性となって現れます。

今日は4つに分類される人間の脳をそれぞれ刺激するプレゼンの特徴を解説しながら、多様な考えの人がいる場面でもフックのかかりやすいプレゼンの作り方を説明していきます。

この「利き脳」は、脳科学が発展していく中で明らかになりました。1981年にノーベル賞を受賞した、カリフォルニア工科大学教授のロジャー・スペリーは、分離脳研究により「右脳・左脳」というモデルを生み出しました。

1990年には、アメリカ国立精神衛生研究所のポール・マクリーンが、「三つの脳の進化」という本で「三位一体脳モデル」を唱えています。

GE(ゼネラル・エレクトリック)社の人材開発部門にいたネッド・ハーマンが、これらの研究結果を組み合わせた「全脳モデル」を構築して能力開発に役立てました。このモデルは「マイクロソフト社」をはじめとする多くの世界的な企業でも広く取り入れられています。

この「ハーマンモデル」は、右脳側と左脳側、大脳部分と辺縁系部分、で脳を4つの部分に分類して各部位の機能マップを作成し、脳波計でこの分類の正しさを検証したものです。

TypeAの脳は左脳の大脳部分を使って思考するのを好む脳です。論理的・分析的・数量的な思考を好み、青で表現されます。

TypeBの脳は左脳の辺縁系部分を使って思考するのを好む脳です。序列的・計画的・詳細的な思考を好み、緑で表現されます。

TypeCの脳は右脳の辺縁系部分を使って思考するのを好む脳です。対人的・感覚的・感情的な思考を好み、赤で表現されます。

TypeDの脳は右脳の大脳部分を使って思考するのを好む脳です。全体的・直観的・創造的な思考を好み、黄色で表現されます。

実際には利き脳は1つではなく2~3つの利き脳が組み合わさっていることが多いのですが、個人や組織の思考特性を知ることで「刺さるプレゼン」を作ることができます。

それぞれの脳がいったいどんなコンテンツを心地よいと感じるのか、具体的に説明していきたいと思います。

青脳は合理的・論理的な思考を好み、無駄を嫌う脳です。青脳に刺さるためには、無駄のないミニマルなスライドを作り、矛盾のない論理構成にすることが大切です。

スライドデザインのポイント
・重要度の低い項目をそぎ落とすことで、ポイントを明確にする
・インフォグラフィックや図解を用いて、論理構成を正しく伝える
・事実に基づくデータを数字で示すことで、プレゼン内容の信用度を高める

緑脳は明確な序列や規則に従うことが好きな脳です。緑脳に刺さるためには、詳細な情報が分かるページや、誤字脱字のない正確なスライドを作る事が大切です。

スライドデザインのポイント
・ミスがなくルールに従った正確な表現で、信頼感や安心感を与える
・細かい部分のあしらいや文字のずれがないように丁寧に作り込む
・目次やタイムテーブルで、これからの予定を順序良く表現する

赤脳はエモーショナルな表現に弱い脳です。人物の表情や心を揺さぶるストーリーで「きゅんきゅん」に心を掴んでください。

スライドデザインのポイント
・表情豊かな人の写真素材を使うことで、スライドに注目してもらう
・場面に合わせたナレーションや音楽を用いた雰囲気づくりをする
・ストーリー仕立ての構成で、世界観のあるスライドをつくる

黄脳は、これまで見たことのないような表現や、ワクワクするビジョンを好む脳です。カラフルで遊び心のあるスライドで聴衆を魅了しましょう。

スライドデザインのポイント
・エッジの効いた斬新なデザインで、聴衆をあっといわせる
・カラフルな色づかいのイラストやあしらいで、気持ちを盛り上げる
・アニメーションや切り替えなどの動きを使って注目を集める

プレゼンする相手が一人であれば、その人の利き脳を予想して、好みのプレゼンスライドを作ることで、プレゼンの成功率をあげることができます。不特定多数の人にプレゼンする場合は、4つの脳すべてが好むポイントを意識してスライドを作ることで、自分の想いが相手に伝わりやすくなるでしょう。

皆さんのプレゼンの目的は何でしょうか?ビジネスであれば、営業や採用などを通じて相手に行動してもらうことが目的になるでしょう。オンラインでのつながりが深まるこれからの時代には、プライベートでプレゼンする機会も増えるかもしれません。

ぜひ様々な場面で、4つの脳に刺さるプレゼンを作ってみてください。みなさんがプレゼンの力で人の心を動かし、思い通りの人生をデザインするきっかけになれば嬉しいです。


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