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日本語に習熟していない外国人が、日本で就職先を探す方法

2024.1.8作成 2024.1.9更新

2024年はご縁があり、英語または日本語で、外国人のキャリアカウンセリングをさせていただく機会を得ることができました。2025年は、自分でも直接受け付けてより多くの方を支援できるように準備を始めたところです。早速italkiでメニューを増やし、そしてトライアルのお申し込みが入りました。

日本に住んで日本企業で働くには、もちろん日本語が流暢であることのほうが職業選択の幅が広がって断然有利です。生活にも日本語は欠かせませんし。しかし、ペラペラじゃなかったらチャンスはゼロなのか、というと必ずしもそうではないようです。現に、日本語は入門・初級レベルにとどまりながらも、10年以上日本で働いている人を知っています。

「日本語は勉強しているけど、面接や就業に耐えられるほどではない。」あるいは「大学の英語トラックで学んだけど/ワーキングホリデーで日本に旅行にきたけど、”帰国せず、このまま日本に残って働きたい”」「留学ビザで日本語学校に入ったが、仕事があれば今すぐにでも就職したい」といったような相談があった場合にどうするか?

少なくないこのような相談があった時に、もちろん相手の意思や背景を十分に聞いて理解して、憧れや思いつきじゃなくて本当に日本で就職したいのねと納得した上で、というのが大前提ですが、日本語が得意ではない外国人(特に英語話者)の就職/転職に役に立つ情報ソースを整理しておきたいと思います。自分と外国人向けキャリコンの方へのメモとして。


そもそも何をしたいのか、なぜ日本なのか

これは過去に書いたものがあるので、ここではスキップします。

該当する在留資格は、身分系 or 活動系?

まず目先のこととして、日本で外国人が就業するにあたって「在留資格」という縛りがあります。永住者や日本人の配偶者など身分系の在留資格でなく、活動系の在留資格のうち職種に紐づくもの(俗に、就労ビザ)で働く限りは、どうしても制約を受けます。日本人のように、職業選択の自由が100%与えられているわけではありません。クライアントの話を聞きながら、どの在留資格が該当しうるかを検討して、明らかに該当する在留資格がなさそうな場合は、その旨を伝えたほうがかえって親切かもしれません。

就労系の在留資格は、在留資格一覧表の「一の表」「二の表」が該当します。それ以外にも、例えば「四の表」に該当する留学生は資格外活動として規定時間内の労働が可能ですし、「五の表」に該当するワーキングホリデー等々、活動内容次第ですが一定の条件下で就労が可能な資格もあります。

2024年の在留資格勉強会の資料より抜粋(入管ホームページを基に作成)

※在留資格について知識を深めたい場合は、ビザに特化した行政書士さんのYouTube動画や、行政書士事務所の記事などにわかりやすい説明があります。ただし、最新情報は、必ず入管のホームページで確認を。

英語だけ(or 英語メインで)働ける職場とは

ここでは主に、最もポピュラーな技人国ビザ(在留資格:技術・人文知識・国際業務)をメインに考えます。

技人国は日本語の要件がありませんので、受け入れ企業側さえOKならば、日本語が話せなくても就業できる可能性があります。探すべきは、

  • 面接だけでなく、就職後の日常業務も、ほぼ英語で遂行できる職場

  • 「技術・人文科学・国際業務」の資格該当性がある業務
    (英語以外の専門性がある大卒または専門卒、通訳・翻訳・英会話教師など英語話者のバックグラウドを十分に生かせる、など)

問題は、そういった職場をどうやって探すか?

求人を探す方法

英会話教師であれば、民間の英会話学校が行なっている説明会に参加したり、JETプログラムに応募するなど、海外からでも応募できる方法が色々があると思います。

一般に在日外国人が求人を探す方法は、厚労省の調査によると「外国人の職探し、口コミ頼み」とありますが、他に方法がわからないからそうしている、という可能性もなきにしもあらず。

しかし実際には、仕事探しにはいろいろな手段があると思います。上記の調査では、次のような選択肢が提示されています。
(第2-2表 産業、入職経路別外国人常用労働者(入職前居住地:日本)構成比 より)

  • ハローワーク

  • ハローワークインターネットサービス

  • 日本国内の民間紹介会社

  • 日本国内の学校の就職支援窓口(キャリアセンター)

  • 前に働いていた会社

  • 知人、友人

  • 求人広告(求人情報誌、インターネット)

  • 出身国・地域の紹介会社・個人

  • 出身国・地域のその他の機関

「出身国・地域の」紹介で、日本の就職先を探すのは盲点でした。

上記のうち、いくつかをブレイクダウンします。

ハローワーク

ハローワークの中でも、外国人支援に特化し多言語対応等を行なっているのは「外国人雇用サービスセンター」です。

ただし、①高度外国人材(いわゆるホワイトカラー職)に特化している ②大都市圏にしかない ③国内にいる外国人向け(海外にいる方への仕事紹介はしないらしい)という制約はあります。

外国人雇用サービスセンター一覧(Employment Service for foreigners)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12638.html

無料ですので、セミナーや相談に行ってみてもいいかもしれません。

通訳をおいているハローワークの一覧もあります。

https://www.mhlw.go.jp/content/000592865.pdf


ハローワークインターネットサービスもありますが、多言語対応はないようですね。


求人広告(留学生・外国人向け)

まずは、英語のみで応募できる求人がどのぐらいあるか、どんな職種があるか、求人広告を眺めて情報収集してみるといいかもしれません。ホームページで多言語、少なくとも英語対応しているかは最低条件になるかと思います。

新卒ならリクナビ・マイナビあたり、転職ならリクルートエージェントやビズリーチなど、日本人向けの定番がありますが、多言語対応していません。

以下、英語対応や言語レベル別求人検索ができるホームページのみ、見つけた順に記載。高い日本語レベルを想定していると思われるサービスは省いています。各社のサービス内容の違いや就職支援の手厚さなど、今後要研究です。

★Asia Link 同社のセミナーに参加したのですが、留学生向けの支援がしっかりしている印象があります。就職が決まった後もフォローをしているとか。ホームページには、言語ごとの仕事紹介があります。

★マイナビ国際派就職 ホームページが英語対応

★NINJA ホームページは多言語対応していませんが、求人検索で日本語のレベルを選べます。一番低い「挨拶程度」を選択すると、多くないですが求人あり。

https://nextinjapan.com/jobs?japanese_level=4

★YOLO JAPAN 

★NIPPON仕事.com 

★Jobs In Japan

★GaijinPot Jobs 英語:母国語レベル・日本語:不問、で求人検索したら、一定の求人数が出てきました。

★WeXpats Jobs サイトは多言語対応、日本語はJLPTのレベルで検索可

★Work in Japan


日本国内の民間紹介会社(外資系・バイリンガルに強そうなところ)

日本での転職が初めて・不慣れで、日本語もまだまだこれからという外国人には、求人広告を見て直接応募するのではなく、面接準備等の支援をしてくれる紹介会社(エージェント)がおすすめです。エージェントなら、企業に候補者を打診する際、個人情報を隠したブライドレジュメを作成してくれたり、企業の情報を事前に教えてくれたり、合同企業説明会や面接の練習をしてくれることもありますので、1人で就活するよりは心強いでしょう。

エージェントは、就職が決まるごとにリベートをもらうというビジネスでやっていますので、しっかりサポートしてくれることと思います。人材派遣の免許があるエージェントなら、正社員では難しい企業に派遣で働くオプションを得られるかもしれません。

問題は、どのエージェントにするか。以下、外資系に強い印象のある人材紹介会社です。留学生よりも、経験者の転職に向いていると思われます。
転職支援も人材派遣もやっていたり、英語ネイティブのアドバイザーや営業がいるなど、日本語が苦手でも安心して相談できるかもしれません。

★Michael Page(マイケル・ページ)

https://www.michaelpage.co.jp/en

★Robert Walters(ロバート・ウォルターズ)
https://www.robertwalters.co.jp/en/

★Career Cross(キャリア・クロス)

https://www.careercross.com/en/

★connect job (フォースバレー・コンサルティング社)

★Hays(ヘイズ)

★en World(エン・ワールド)

★JACリクルートメント
外資系に強いイメージありましたが、ホームページの英語対応がなくて残念。でも外国人の間でよく知られている印象です。

キャリア相談/就職相談の窓口

外国人向けに多言語対応しているキャリア相談・就職相談窓口は、正直あまり多くないと思います。大学生ならキャリアセンター/就職課的なものがあると思いますが、英語対応がなかったり、日本語ができないと仕事を紹介できないと言われることもあると何度か聞いたことがあります。

社会人向けの相談窓口は、転職エージェント以外には日本人の友人や配偶者などに限られてしまうかもしれません。そんな時は、ここも活用してみてはいかがでしょうか。

東京外国人材採用ナビセンター

「相談デスク」はオンライン(Zoom)でも相談できます。東京都の予算で運営していると思いますが、「東京で働くことを考えている」といえば、都外や海外からの問い合わせもおそらく大丈夫です。会社説明会や面接対策セミナーなども豊富にあり、信じられないことにすべて無料です。

新宿外国人雇用支援・指導センター(ハローワーク新宿内)

「日本人の配偶者等、定住者等就労に制限のない在留資格の方及びアルバイトを希望する外国人留学生の方の職業相談窓口」とのことことです。

英語版のパンフレット
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/content/contents/001906195.pdf

そのほか、各地のハローワークや、外国人雇用サービスセンター、各エージェントが行なっているセミナー・イベントなども要チェックです。


履歴書・職務経歴書の準備と面接対策

履歴書・職務経歴書の日本フォーマット化、面接対策などは、それだけで本になりそうですし、すでに出回っている情報も数々ありますので、ここでは割愛します。参考書を1つだけ紹介します。

上記で紹介した「東京外国人材採用ナビセンター」では、履歴書・職務経歴書に対するアドバイスを求めたり、模擬面接をしたりと、色々手伝ってくれます。

FYI

英語話者の日本でのキャリア形成支援については、個人的に重要テーマの一つです。2024年度から本格的に取り組み始めました。以下、参考情報として。

日本語に習熟していない外国人材向けの英語キャリアカウンセリング
―⽀援者(キャリアカウンセラー)の実践⼒向上を⽬指した取り組みから―

⽥中久実(Language Plus One), 國井久美⼦ (フリーランス)2024年







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