(6)義父の様子がおかしい
義母がリハビリ病院に入院していた3か月間、タイミングを見ては、車の運転をもうやめたほうがいい、仕事も引退して、婆ちゃんが退院したらお世話してあげてほしい、という話題を義父に持ちかけていた。義父は、生活が大きく変わることへの不安もあり、「そうやなあ…でも取引先があるからなあ。」など、なかなか決心もつかず。そんなときだった、私が義父の行動に違和感を感じるようになったのは。それまでは、義両親ともに元気にしていたので、同居しているとはいえ見えていない部分も多かった。しかし義母が入院している期間は、義父としゃべる機会も増えたし、義父の行動をなんとなく気にするようになった。午後6時ぐらいに晩ごはんを終えるとすぐにテレビを見ながら寝て、夜中12時になると起きてくる…目が覚めて寝れないだけかなと最初のほうは思っていたが…どうやら違う。真夜中12時から1日をスタートさせている。私たち家族が寝る12時頃に義父は起き出し、顔を洗い、部屋のゴミを集め、パンを食べ、朝刊が届くのを待ち、朝刊が届いたらそれを持って仕事場に出勤するのだ。朝の4時台だ。そんな暗い時間から車を走らせ、取引先もまだ営業していないのに仕事場へ行ってもすることはないはず。そして家族がそれぞれに出発した朝9時、10時になると、仕事場から帰ってくる。明らかに時間が狂ってる。以前はこんなことなかった。こんな時間に仕事に行ってなかった。もしかしたら、最近は義母が毎朝毎晩、まだ寝る時間だ、そろそろ起きる時間だ、仕事場へ行く時間だ、など、時間を教えてあげてたのだろうか…。義母の入院でそれがなくなり、義父は時間がわからなくなっているのだろうか…。私がそろそろ寝ようと思って歯磨きをしているところに顔を洗いに来て、おはよう、と言う。私がパジャマに着替えたら義父はスラックスを履いて出てくる。あれ…?時計が読めなくなった?時間がわからなくなった?あれ?と思うことがたびたびあった。しかし、私が、「今は夜の12時だから私は今からおやすみだよ」と言うと、今から寝るんか??など普通に会話できていたし、それ以外に大きな変化はわからなかったので、もしかしたら私たちが知らなかっただけで、いつも睡眠時間は夜6時から12時だったのだろうか…と思ったり…。義母の入院中の3か月間は、そんな日々が続いた。